第27話

「お父さんが言ってなかった?」


「聞いてないよ」


「部屋あるし、いいよって…家賃浮くからって」


そんな理由?もーお父さん勝手なんだから。

すると、玄関からそのお父さんがやってきた。


「カエ〜ゆっくりしてたか?」


「うん、まぁ…」


荷物置きっぱなしだけど。


「伊織くんも住んでるの知らなかった」


伊織くんは無表情だけど気まずそう。


「あ、話してなかったかな?部屋が空いてるしいいじゃないか」


「そんな理由?」


「まぁいいじゃないか。あーそれと、りこちゃんから漫画を借りたから。ほら」


「ありがとう」


紙袋に詰め込まれてる。少女漫画だろうな。


「お父さんご飯作ってやるから。おかゆならいいな?」


「うん、ありがとう」


学校にはまだ行けないかも。食欲あんまりないし。


「カエさん、バイト行くから」


「うん、いってらっしゃい」


お父さんと代わりばんこなんだ。

さて、漫画読むか〜。暇だし。


う…これは、同居人と恋に落ちるとかそういうやつ?しかも、いつもよりも内容がハードというか、大人向けというか。伊織くんはそんなこと考えないと思うけど、りこはこういう妄想してるのかな…?


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