第6話 魂消滅の危機に瀕する。僕は足掻く。
「魂の強制消滅!?」
素っ頓狂な声をあげ、散々僕を転生させまくった天使を睨む。
「まあ、あれだ、魂が無益と判断されたからと言って、無闇矢鱈に消滅させたりだとかはしねえんだがな…。
例えば、素質があれば調整係の道もあるぜ。」
考え込むような仕草を見せる、異世界の“責任者”とやらが、色々と教えてくれた。
つまりこういうことだ。
転生回数が4回を超えると、5回目は転生ではなく、世界の調整係の道もあるとのことらしい。
その調整係というのが、エンジェル三課みたいなところなのだ。
正しくは、複数回転生部門、転生斡旋部、エンジェル三課。と、天使が付け加えたが、もはや奴の声は耳に届かない。
三課の他にも、社会誕生担当部やら生物転換部やら把握しきれないほどの部署部門があるのだという。
その中でもエンジェル三課は消滅寸前の魂を最後の異世界に放り込むところらしいのだが…。
「ちなみに、消滅と労働で言うと、労働への道は倍率的にはどのくらいですか?」
「僕が配属されたのは随分前でしたが…、200倍くらいですね!」
今は世界の数も増え、魂の総数も増えているからもうちょい高くなってるかも!と、意気揚々と答える天使。
「いや、それ倍率クソほど高いですよ…、某千葉県のネズミ国並じゃないですか。」
一度死んだ身とはいえ、消滅するくらいなら僕は…。
ぐっと下唇を噛み、どうにか平穏に暮らし、志半ばで人生が強制終了させられずに精をまっとうする方法はないものか。いよいよどうしたら良いのかわからなくなったその時だった。
「とはいえ、3回目のお前さんにゃあ、他の選択肢が残ってないわけじゃねえ」
出来立て異世界の責任者がニヤリと笑ったのが見えた。
「いいか、俺んとこの世界はさっきも言った通り創世記だ。管理者も人手が足りてねえのが現状でな…。」
そう切り出した異世界の管理者のあやしげな笑顔を、僕はかつて何度か見たことがある。
あのベンチャー企業でだ。
それは大抵、事業が軌道に取り始めるか否か、そういう絶妙なタイミングで社長が思いついたプランを発表する時の笑顔だ。
「ちょ、それは手続きが複雑ですから…」
天使が初めて進行に口を挟んだが、責任者はそれを遮りこう言い放ったのだった。
「お前さん、俺の世界で管理者をやってみねえか?」
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