12~認識

裸足に白いレースの裾

ベンチに座り少し寛ぐ

立ち上がり

目の前の鏡に手を突っ込む


雨の音

ここでも雨の音

濡れた七分丈のズボン


目を開く

また目を瞑る


離れて戻っても同じ世界


同じ七分丈

きっと見るべきはここなのだろう


10歳を超えたくらい

男の子

裸足

雨は温かい

悪い気持ちはない

ただそこに立っていて

そこで生きていた

今とよく似ている気がする

ただ今を生きていたい

家族のそばで

愛するもののそばで

食べて 寝て なにかを探しながら

なにもかもわかっている気になって

それは気のせいでもなくて

感じることすべてのうちの

半分以上が正解なのも知っていて

幼いながらに

いつか死んでしまうことも知っていて

この世界ではなにを得るのだろうか

あらたな発見はなく

認識するだけの生だったのかもしれない

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