第176話 とけいをくるくる


 へっへっへ。

 あたしは、てにいれたのだ。

 あたらしくて、ふかふかで、かわいいタオルをてにいれたのだ!


 あたしは、いますぐにつかいたいっておもった。

 あと、いますぐにようちえんにいって、みんなにみせたいっておもった。

 だけど、ようちえんにいくのは、げつようび。

 いまは、どようび。


 しゅーん。

 

 どようびになったらタオルをかってくれるって、やくそくしてくれたのは、げつようび。

 それから、たくさんたくさんまって、どようびになった。

 タオルをかってもらうまでに、まったじかんとくらべたら、つぎにようちえんにいくまでに、またないといけないじかんは、そんなにないんだとおもう。

 だけど、なんだか、とってもながくかんじる。


 あたしは、つくえのうえにあった、くるくるするとけいのハリを、くるくるした。

 それで、よくわかんないけど、たぶんげつようびになったくらいまで、くるくるした。


「ママ、げつようびになった」

「そんなわけないでしょう? って、ああ! とけい、いたずらしたな⁉ じかんがくるってる!」


 ぷう!

 いたずらじゃないもん!

 じかんをすすめただけだもん!


「もーう! じっとしてるから、まてないんだよ。……たぶん!」

「じゃあ、どうしたらいいっていうのさ! ママ!」

「うーん……。こうえんでもいくか!」


 な、なんだって?

 こうえん⁉


「トイレいってきまーす!」

「はいはーい!」

「ママもトイレいくー?」

「リンがでたらね」

「じゃあ、いそぐね」

「ゆっくりでいいよ~」


 いやいや、ゆっくりしてたら、こうえんであそべるじかんが、へっちゃうじゃん!


 ママ、しってる?

 こうえんのとけいはね、くるくるしなくても、とってもはやく、くるくるするものなんだよ?


「さぁ、いくぞー!」

「おー!」


 あたしは、ポケットにいれたふかふかのタオルをぽんぽんってしてから、げんきよくいえをとびだした。



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