第155話 がんばってみる


 しゅうだんかつどうってやつをしてると、なんとかかい、ってやつがときどきある。


 うんどうかい、とか、はっぴょうかい、とか、そういうやつ。


 ちょっとまえまでは、けっこうわくわくしてた。そんなきがする。だけど、いまはちょっと、いやなきぶん。


 だって、なんだかむずかしいんだもん。

 まえは、まえにいく、とか、ななめにあるく、とか、そういうかんじだったのに。

 いまは、だれだれさんはあそこからあっち、だれだれさんはあっちからそっちってなってる。

 おなじうごきのひとがすくなくて、みんないろんなうごきをしているようにみえて、あたまのなかがごちゃごちゃになっちゃう。


 つられてうごいて、「ちがうよ」っておしえてもらったり、つられてうごいてるひとに、「ちがくない?」ってこえをかけたりしてばっかり。


 せんせいは、「れんしゅうをしたら、できるようになるよ」っていうけど、ぜんぜんできるようにならない。

 バラバラだ。


 うまくいかないと、たのしくない。

 たのしくないと、めんどくさい。


 もう、なんとかかいとか、いらなくない? って、あたしはおもったりする。


「はぁ……」

「どうしたの? リン。れんしゅう、しっぱいでもしたの?」

「うーん……」

「ま、れんしゅうすれば、できるようになるよ」


 ぷう!


 おとなは、かんたんにいう。

 でも、こどもはたいへんなんだからね!


「せんせいたち、リンたちができないことは、やってっていわないとおもうよ?」

「……ん?」

「みんなならできるって、しんじてくれてるとおもうよ?」

「うーん」


 そうかもしれないけど、やっぱりむずかしいんだよな。

 でも、まぁ、がんばってみる、か。

 だって、あたしたちになら、できるとおもってもらえてるんだもんね!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る