第8話 らんらんらんどせる




 ショッピングモールにおでかけしたら、ランドセルコーナーがあった。

 あたしにはまだはやいんだけど、すごーくきになる。

 せおってみちゃ、ダメなのかな。

 ねんちょうさんじゃないと、ダメなのかな。


 たちどまって、じぃっとみていたら、パパに「どうしたの?」ってきかれたの。

 でも、「らんどせるをせおってみたい」って、いってもいいのかなぁ。


「ランドセル、おさがしですか?」

 てんいんさんに、みつかっちゃった。

「ああ、いや。まだこのこには、はやいので」

 パパが、しおをかけすぎたおかずをたべるときみたいな、ちょっとへんなかおをして、ことわった。

 ざんねんだな。

 

 あのみどりのやつとか、せおってみたら、どんなふうになるのかな。

 かわいいかな?

 かっこいいかな?

 いまよりもっと、おねえちゃんにみえるかな?


「きになるものがあったら、せおってみてね」

 てんいんさんが、にっこりえがおであたしにいった。

「え、いいの?」

「うん。だけど、いつかだれかのランドセルになって、がっこうにかようものだからね。たいせつにあつかってね」

「は、はい!」

 パパは「いやぁ、すみません」とかいいながら、あたまをかきかきしてた。

 あたま、かゆいのかなぁ。

 

 あたしは、ランドセルコーナーをくるくるみてまわった。

 やっぱり、あのみどりのやつ!

 あとはね、あのピカピカピンクもきになる。

「これ、せおってみたい」

「あ、ああ、うん」

 たかいところにあったから、パパがとってくれた。

 せおってみたら、おおきくて、おもい。

 しょうがくせいって、すごいなぁ。

 とっても、ちからもちだ。


「パパ。みどりとピンク、どっちがにあった?」

「ん? どっちもよくにあっていたよ!」

「そう?」

「うん。リンはどんなランドセルでもにあうよ」

「ええ、くろでも?」

「もちろん! だから、ほんとうにかうときは、リンが『これとずっといっしょにいたい』っておもえるやつにしようね」


 なんでもにあっちゃうだなんて、てれるなぁ。

 えへへ。

 あ、あれ……あたし、なんであたまかいてるんだろう。

 かゆくないのに。


 ああ、はやく、ねんちょうさんになりたいな。

 ランドセルえらび、すっごくたのしみなんだもん!



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