狙撃手

言ノ葉貫通

***

”響く銃声”

跳弾の音、割れる窓ガラス

ビルの上、四角い屋外広告の中から飛び出した銃弾はそれらを生みだした


その方向に、よろけながらも全力で走っている男性が一人

私は彼に向かってもう一度スコープを合わせる

私の目にはもう彼しか映っていない


スコープ越しに時々挙動不審に周りをキョロキョロ見回しながら走る彼が見える


残念だが君は家には帰れない、理由はどうであれ私に頼まれてしまったのだから、ここで消えてもらう。


息を殺し、一ミリの誤差も許さない照準を構えた


あぁ、この瞬間彼は一体何を考えているのだろうか…

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