「はーるかっ！」

「あ、かえでか…」

「あって何よ！ずっと下向いて歩いてたらそのうち誰かとぶつかるよ？まぁもう先輩とは別れてるから関係ないと思うけど、悩みあるならなんでも言ってきていいからね！」

「うん、ありがとう…」

性格の良くない楓のことだから、お世話になっている先輩をちょっとだけからかって「遥みたいな可愛い子を1日だけ彼女にしたらどんな反応をするのかな〜｣とか思っていたのだろう。

遥自身も「付き合うのが罰ゲームだけど、この人無理とか思ったらすぐ振りなよ」という指示は受けていた。それだけ彼女にとって陵介に対する評価というのは低いのだろう。

だから楓の中では私と陵介先輩はとっくに別れたことになっているが、実際は1週間を過ぎた今もまだ付き合っているのだ。そして勘の鈍い彼女がこのことに気づく様子も全くなかったのだった。

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