18_生存遊戯_セレネ
(背中に硬い感触がない?)
セレネは窓から差し込む日差しで目を覚ます。
(随分眠っていたようね……)
「#、######?」
セレネはカナル型のデバイスを操作して電源を入れる。
「おはようナガト」
「おはよう。調子はどう?」
「うーん、結構良いわよ。お腹は空いてるけど」
「それはよかった」
「鏡はあるかしら?」
「うん」
ナガトはベッドの近くにある収納から手鏡を渡そうとするが一瞬躊躇う。
「どうしたの?」
「いや……その……感染症の影響でだいぶ見た目が」
「はやく」
(バケモノみたいになってる……のよね)
手鏡を渡す。
セレネはおそるおそる鏡に映る自分を見る。
亜麻色の髪は燃えるような、いや、それ以上の赤、灼熱のマグマのような色になっていた。
「……全然いいじゃない!」
「え、え?」
「というか爪黒くなってるじゃない不思議ね!」
「入るぞー、目が覚めたんだってな」
うっすら記憶があるが、誰かわからない男がバインダーを持って入ってくる。
「どなた?」
「ここの支配人と思ってくれりゃいい、カナメだ」
「セレネよ」
「よろしくMrs.セレネ」
「独身よ。色男さん」
「……あー、てっきり。勘違いだったか。悪い悪い」
「いずれそうなる予定」
「そりゃいい」
端正な顔立ちで目はキリッとしている。表情は豊かで背丈も高い方、すらっと伸びた足が顔立ちの良さをより際立たせる。
「で、これはどういうことかしら?」
「えーっと」
カナメが大まかの経緯を説明する。
「なるほど、私は感染者になったけど運が良かった感じなのね!」
「だいたい合ってる」
「で、それでどうして髪の毛とか指とかがこんなことになるの?」
「このウイルスは様々の動植物、はたまた菌類とかにも普通に感染している特殊なウイルスなんだが、人間に感染したときだけ今まで経由した遺伝子情報を人間の遺伝子にかき込む性質がある」
「じゃあ、私の髪が真っ赤になったのは感染したウイルスが毛を赤くするような生き物だったってこと?」
「そうなるな」
「へー、面白いわね!」
「まだまだわかってないことが多いが今のところはそんな感じだな」
「ちなみにどんな生き物なの」
「えっと、ラヴァスパイダーっていう蜘蛛だな」
「えっ、蜘蛛?」
「蜘蛛、それもタランチュラの一種だな」
「何それいいじゃない! あっ、こここうすると人間形態に戻れるのね! なるほどなるほど」
「ナガト、このお嬢さん適応力とポジティブさがやべえな」
「うん、俺もそう思う」
「なによ! ポジティブな方が人生楽しいじゃない」
「そうだな」
「それでカナメ、このウイルスはなんて言うのかしら? インフルエンザとかエイズとかエボラとかあるじゃない」
「ああ、このウイルスの名前か」
カナメはバインダーを閉じる。
「ウイルスの名前は
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