16_生存遊戯_ナガト
「あんまり見ないでくれる?」
(耳についてたあれが無くなってるし、言葉通じないか)
ナガトは二人の男の方を捉える。
(すげえごついなぁ……やれるかな)
ナガトは駆け出す。
(とりあえず右がA、左がBでいいや)
男のAにターゲットを絞り込む、見たことない瞬発力で懐に潜り込むとナガトはレーザー銃に手を掛ける。
同時に体を捻り両足で蹴り上げてサマーソルトを喰らわせる。手の関節が極まった状態で体勢を大きく崩された男Aの手首は脱臼する。
ナガトの変異した手はヤモリが持つ指の構造に似ている。
簡単に言ってしまえば、極めて高いグリップ性能がある。
「銃が――!」
ナガトは男Aのレーザー銃を奪い取るとセレネの方に向って投げる。
その後、男の膝を裏側から引き込むように足を掛ける。
強化外骨格相手では転ばせることも出来ないが、膝を落とすことができる。
(膝カックンって意外と効くんだよね)
ナガトは男Aの頭に手を貼り付けて無理矢理が強化外骨格を引き剥がず。
即座に射線から外れる。
セレネが万端の状態でレーザー銃のトリガーを引く。
(まずは一人目)
ナガト跳躍で天井に張り付き駆け出す。男Bは何が起こっているの理解が追いつかないままナガトの接近を許してしまう。
(頼むよ)
男Bの背後あたりで天井から落ちて膝を蹴り両手で右足を掴み地面に転ばせる。
両手で頭部の強化外骨格を引き剥がすと仕上げをセレネに任せる。
(あっ、あのデバイスこいつらも使ってるのか、もらっとこ)
ナガト悪い手癖でカナル型のデバイスを奪う。
直後にセレネがレーザー銃ではなく、自前のアハトノインで男のこめかみに弾丸を放つ。
一段落ついたところでナガトはセレネにカナル型のデバイスを渡す。
セレネは耳にデバイスを装着するといくつか設定を始めたようだった。
「……ナガトなんでしょ?」
「違います」
「はぁ、もうちょっと嘘をつくにしてもないの?」
「悪かったよ」
「その調子だと、自分を取り戻したって感じ?」
「そんなところ、心の病気だったみたいだ」
「そう、それは、よかった……わね」
セレネはその場に倒れ込む。
「セレネ?」
彼女の左肩を見ると噛み傷があった。
「嘘だろおいおいおいおい!」
直ぐにセレネを抱えるが、感染者に噛まれた時の対処などナガトは知らない。
(どうする。どうしたらいい!)
――ナガト! 何かあったらもう一度、もう一度ここへ! 絶対に力になります!
(椿宮師団……だけど、いや、今はそこしかない!)
ナガトはセレネを背負い直し紐でくくりつける。
(死なせるわけにはいかねえ……)
ナガトは全力で駆け出した。
夜の廃れた東京の世界を――。
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