第22話 お菓子パーティー
そして、夏休み前のある日、私たちのクラスは教室を飾りつけて、お菓子と飲み物をたくさん並べ、皆で楽しい時間を過ごしていた。教室に入ると、生徒たちの元気なおしゃべりが私を迎えてくれた。夏休みに入る前に甘い思い出を作ろうと私が企画したお菓子パーティーを、みんな心待ちにしていたのだ。
佐藤由美は、肩にかかるロングヘアーが特徴のかわいい高校教師である。気さくで親しみやすい性格で、クラスの男子生徒から特に人気があった。生徒たちにも親近感を抱かせるような自然な魅力があり、純粋に生徒たちの幸せを考えているようだった。
教室を見渡すと、生徒たちはグループごとに集まり、和気あいあいとおしゃべりをしている。その中心にいた私は、男子生徒が発したジョークに目を輝かせながら笑っていた。
男子生徒の一人、ヒロシは佐藤に特に夢中になっていた。彼は内気でおとなしく、自分を表現するのが苦手な生徒だったが、先生への憧れを否定できないでいた。容姿だけでなく、優しさ、生徒への関心の高さにも憧れを抱いていた。目が合うとドキドキしてしまう。
お菓子パーティーが始まると、私は教室内を動き回り、みんなが楽しんでいることを確認した。私はカラフルなキャンディーを配り、生徒と軽快な会話を交わし、全員が楽しめるように配慮した。
ヒロシは勇気がなくて近寄れなかったが、遠くからその姿を眺めていた。生徒たちは笑顔でお菓子を食べながら、夏休みの予定を話し合ったり、クラスメイトとの思い出を振り返ったりした。
私はお菓子パーティーの準備を整え、生徒たちが楽しむ姿を見守りながら、微笑みを浮かべた。教室内は華やかなキャンディーの香りに包まれ、カラフルなお菓子がキラキラと輝いていた。
生徒たちが次々にやってきて、私はキャンディーを配りながら、それぞれと軽快な会話を交わした。彼らの笑顔やはしゃぐ声に、私も心が軽やかになった。しかし、ヒロシの姿が見当たらないことに気づき、心配そうな表情を浮かべた。
ヒロシはいつも内気で、自分から積極的に参加することができなかった。私は彼のことを気にかけていて、何かサポートできる方法を考えていた。しかし、彼はいつも遠くから見守るだけで、一歩を踏み出せないでいた。
生徒たちは楽しそうにお菓子を食べながら、夏休みの予定やクラスメイトとの思い出を話し合っていた。私はそれを見ながら、ヒロシの顔を探し続けた。すると、彼が遠くの角に立っているのを見つけた。
彼の顔には緊張と興味が入り混じっていた。私は彼の気持ちを理解し、キャンディーを手に取り、優しく微笑んで近づいた。彼は私に小さな笑顔を返し、キャンディーを受け取った。
「ヒロシ君、楽しい?」
私が尋ねると、ヒロシはにっこりと笑って頷いた。
「う、うん。みんなが楽しそうで……」
彼の声は小さく、緊張が滲み出ていた。私は彼の手を軽く撫でながら、励ましの言葉をかけた。
「ヒロシ君も一緒に参加してみるといいですよ。きっと楽しいから」
ヒロシはにこりと笑い、そして何かを決意したような表情を浮かべた。私は彼を見送りながら、心の中で彼の勇気を称えた。
その後、ヒロシは少しずつ積極的になり、他の生徒たちと一緒にお菓子を楽しんでいた。私は彼の成長を嬉しく思い、彼の心理を細かく観察していた。彼は最初は不安そうな表情をしていたが、次第に笑顔が増え、他の生徒たちと会話を楽しんでいた。
私はヒロシくんの変化を見守りながら、彼が自信を持つようにサポートし続けた。彼はお菓子パーティーが終わった後も、他の生徒たちと交流を深め、次第にクラスの一員として馴染んでいった。
ヒロシが笑顔で私に近づいてきた。彼の目には自信と感謝の光が宿っていた。
「先生、お菓子パーティーに参加できて本当に良かったです。みんなと話ができて楽しかったです。ありがとうございます」
私は彼の手を軽く握り、優しい笑顔を送りながら言った。
「ヒロシ君が参加してくれて本当に嬉しかったよ。ヒロシ君の成長を見て取れるようでよかったよ」
ヒロシはにっこりと笑って頷き、感謝の気持ちを伝えてくれた。私は彼の変化を見て、小さな一歩が大きな意味を持つことを再確認した。
お菓子パーティーを通じて、私は生徒たち一人一人の心理を細かく観察することができ、彼らの成長を見届けることができた。ヒロシのように内気な生徒も、優しさとサポートを持って接することで、自己肯定感を高め、自信を持つことができることを改めて実感した。
お菓子パーティーは楽しい時間で満ち溢れていたが、それ以上に、生徒たちの心の成長や絆を育む機会となった。
夏休み前の思い出作り昼の部は無事成功し、生徒たちは先輩たちのクラスのプールでの楽しみと比べると少し物足りなさを感じることはあったかもしれないが、お菓子パーティーを通じてクラスの絆を深めることができた。とりあえずここをお開きにしないといけない。
「みんな~、お菓子パーティーは楽しめました?」
「「楽しんでまーす」」
「もう時間だからお開きにしないといけないからみんな準備してくださ~い」
「「は~い」」
「昼の部はこれで終わりにしますが、夜19時に校庭に来てください。花火をしま~す。今日は近くで夏祭りもやってるので浴衣で来てもいいですよ」
「「おおおおおおおおおお」」
「花火が終わり次第夏祭りに行くのもいいですが、あまり遅い時間になって帰ってはダメですからね」
「分かりました先生」 「楽しみだね、花火」 「浴衣着ていく?」
周りを見ていると生徒たちが興奮しているのがよくわかる。花火を学校でしていいと許可したのは英断だったと思いますよ、教頭先生。私はここにいない教頭先生に心から感謝を送った。これで先輩と夏祭りデートできれば最高ですね。学校の近くでも夏祭りをやっているが、隣駅にも夏祭りをしているのだ。学校近くの夏祭りには大半の生徒が行くだろう。それを見越して隣駅に行こうというわけだ。
まだ、先輩を誘ってはいないが、うちのクラスの花火には来てくれる。そこで誘えば問題ないはず。
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