休日の早起き

アイアンたらばがに

第1話

 時計をぼうっと眺め続ける。

 規則正しく動き続ける秒針と、身動きをしない短針。

 長針が思い出したかのように少しだけ動いたのを見て、口から声にもならない呻きが漏れる。

 休み、いつまでも眠っていても誰も怒らない日。

 だというのに、まだ朝の四時になってから一分しか経っていない。

 仕事中にはあれ程襲いかかってくる眠気が今では影も形もなく、頭ははっきりと動いて倦怠感を知らせてくる。

 昨日は酷く疲れていて、帰ってきてからの記憶が曖昧だった。

 辛うじて覚えているのは、風呂の中で眠ってしまって危うく死にかけたことぐらい。

 ぐう、と鳴り響く腹の音が、何も食べてないことを示していた。

 口の中がガサガサと音を立てそうなほどに乾いていて、ベッドの上に置いてあったぬるいスポーツドリンクを一気に飲み干す。

 倦怠感がいくらか薄まって、ようやくベッドから泥のように這い出ることができた。

 窓の外から淡い光が入り込んでいるのが見える。

 大きな木と一体になっているビルの陰から朝焼けが顔を出していた。

 その下には森に呑み込まれた怖いほどに静かな街が見える。

 頭が異様な音を立てて理解を拒否する。

 鼻の奥から焦げるような匂いがして、視界が白く閉じていく。

 休日の朝の二度寝はもっと幸せなもののはずだと思いながら、私はその場に倒れ込んだ。

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休日の早起き アイアンたらばがに @gentauboa

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