そして何もかも…
saito sekai
ロベラーの悲喜劇
「そして何もかも…」。これは今、女子のハートを一番熱くしている漫画だ。なんと言っても、主人公のロベルトが最高の王子なのだ。最新刊は即日完売。キャラクターグッズは飛ぶように売れ、社会現象になっている。遂に、「ロベルトの薫り」なる香水迄発売に。そんな「そし何」もラストに近づいている。彼を争う七人の姫の中で、誰が彼を落とすのか?!誰もが、最終章を心待ちにしている。
此処に、一人のロベラーがいる。ロベルトに夢中でリアルな男子なんか目じゃないF子だ。いつもの通学電車に揺られながら、考える事はロベルトだ。
「ああ…いつ見ても彼って素敵…」心の中で呟いたその時、周囲の乗客たちが艶やかな花に変わってゆき、あっという間に車内は花園になったのだ。すると、あの薫りが隣から漂ってきて…驚いて横を見てみると、其処にはロベルトが!
F子の手を取り口づけする。「君を待っていたよ…結婚してくれるね」彼女は言葉を失い、全身がハートマークになり、そして何もかも、真っ白になった…
此処はある女子高。授業が始まる前、皆口角泡飛ばさんばかりにロベルトの結婚について話している。「そし今」の最終回が発売になったのだが、七人の姫を差し置き、突如として登場した、日本の女子高生が彼と結婚した結末だったのだ。
皆口々に言う。“そして何もかも、台無し”になったと。 完
そして何もかも… saito sekai @saitosekai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます