第45話 45

45


俺は金を得る為に早速安藤さんに連絡を依頼した。

当然俺の連絡する相手は一人城島じょうじまさんだ。

なんとか連絡が付き俺達はいつもの喫茶店で会う事になった。


-


俺達は城島じょうじまさんとの約束より30分程前に店について待機することにした。

やはりここは呼び出した方が先に来ている方が印象がいいと思ったからだ。

そして城島じょうじまさんがやって来た。


「おや、お二人共早いですね」


「ええ、お呼び出ししたのに後に来るのは失礼かと思いまして」


「そんな事を気にしなくてもいいのに」


城島じょうじまさんはいつもに増して機嫌がいいようだ。

俺達は早速本題に切り出した。


城島じょうじまさんも知っての通り俺達は将来会社を興そうと思っています。そのためにはやはり先立つもの『金』が必要になって来ると思ってます」


城島じょうじまさんは運ばれて来たコーヒーを飲みながらかすかだがコクリと頷いた。


「一般のお客相手に頑張っても頭打ちが見えているのが現状です。そこで城島じょうじまさんに是非地方出来れば愛知近郊がいいのですが有力者の方を紹介して頂こうと考えました」


そこで少し難しい顔をした城島じょうじまさんが口を挟む。


「それで、紹介した私にどのようなメリットがあるのですか?私の仕事が増えるだけのように思えるのですけど」


ビンゴ。

俺と安藤さんはこう言えばどのような返答が来るのかを5パターン程考えた。

当然ぴったりの答えでなくても、近いものならその答えを選択すればいいのだから。


「はい、城島じょうじまさんには簡単に言うと1枚んで頂こうと考えています」


城島じょうじまさんの右の眉がピクリと動いた。


「俺達も紹介しておきながら何もなし・・・・なんて事は考えていません。ただ、紹介して終わりだと味気なくさらにその後もない事になってしまいます」


「詳しく」


乗って来た。


「俺達が考えるのは紹介ではなく、一人当たりによるパーセントバックを考えています。この場合両方にメリットが発生します。一人は儲かればもうかるほどバックが大きくなる、そしてもう一人は安心して作業をこなせるという事です」


城島じょうじまさんが腕を組み真剣に考えだす。


「そしてこれが一番重量な事になるのですが…」


俺は少し溜めを作ってから話し出す。


「俺達が行うのは占い。商品を買ったり売ったりではなく、情報を提供するだけという物です。ここからは俺の独り言ですが、占いに領収書を求める人がどの程度いるのですかね」


すると城島じょうじまさんは声を殺しながら笑い始めた。


「クックっクックック…いや、すまない。君達大学生だろ?何処からそんな悪知恵が湧いてくるんだ?」


俺は真顔で答える。


「違いますよ城島じょうじまさん。俺達は占う人のこれからの人生に関わる大事な事を占いその対価として金を貰うんですよ」


俺は口元を緩める。

城島じょうじまさんは笑いを止め、腕を組みしばし考え口を開く。


「問題がある。シグナルスキャン君の詳細占いには時間が掛かる。それをどのようにするのかね?」


「はい、それは解決済みです。以前城島じょうじまさんも俺が詳細占いをしている光景を見ていると思います」


城島じょうじまさんはコクリと頷く。


「その時に一番時間が掛かっていたのが臓器のを書く事です」


俺は安藤さんからバインダーを受け取る。そしてなかから1枚の紙を取り出す。


「思ったんです。何も最初から書かなくても書いてある臓器の絵にマーキングをすれば良いだけの話だと」


俺は取り出した紙を城島じょうじまさんに見せる。

そこには人間の『肺』の絵が描かれていた。


「こちらはインターネット上からお借りしたものです。これを使うと違法になる恐れがあるので、これを見て俺は自分で描こうと考えています。後はそれを大量にコピーすればOKと言う訳です」


「たっ確かに言われて見ればそうだな」


城島じょうじまさんはちょっとだけだが驚いてくれた。


「では、次の質問だ。私が有力者を紹介したとしても大した数にはならないがそれからどうするんだね?」


「えっ簡単ですよ。上から下へ紹介してもらえばいいだけの事ですよ。例えば、国、県、市等々には議会がありますから、たくさんの人がいるんじゃないですかね。もちろん全員がお客になるわけではないです。しかし必ずチャンス的な事が起こり得ると俺は思っています。それは命に係わる事です。人が百人居れば百通りの病気があるようにさまざまな事が起こります。それを物に出来た時にそのパイプは太く強い物に変わると思います。後はインターネットと同じように蜘蛛の糸をバラまくように拡散していくだけです。上手く行けばの話ですが」


城島じょうじまさんは俺の話を聞いて少し座り直して口を開く。


「率直に言おう。これは俺の手には余る物になると想定される。だから上に話を通そうと思う。あっ誤解しないで貰いたいんだが、君達にとってこれは悪いではなく良い方向へ転ぶ事は間違いないと思う。だからこの話は一度持ち帰らせてもらうでいいかな」


俺は安藤さんと目線を合わせ頷き答える。


「ええ、もちろん。ゆっくりじっくり話し合ってもらって下さい。なんらならパーセント割合も考えて貰ってもいいですよ。俺達が儲かるように」


俺は城島じょうじまさんに笑顔で答えたのだった。


-


「上手く行くかな」


俺は喫茶店を出た後そんな言葉を安藤さんに掛けた。


「どうかな~悪代官鈴木屋が考えた事だからね」


そんな事を言いながら安藤さんはウインクして来た。


「まっなる様になるでしょ。それで話は変わるんだけどこの前話した、店舗用に購入する予定のアウトレット家具屋この近くじゃない?」


「あっそう言えばそうね。時間あるし見に行く?」


「よし、じゃあ出発」


俺達がアウトレット家具屋へ向けて出発した。


-


安藤さんと話して決めた項目として、1階はお客さんの待合席+俺の占い室とした。

待合室は病院の待合室をイメージして椅子を並べようと思う。

俺の占い室だが、待合室との間仕切りはボードの様な板を立てるだけでいいと考えてる。

占いに衣服を脱ぐとかが無い為だ。

なので占い室の椅子は2脚と小さなテーブルとなる予定だ。

そして二階だが、ここは詳細占いと相談をする部屋に使用と考えて居る。

なので、応接セットを購入しようと考えて居る。


俺達はアウトレット店へと入った。

物との出会いは偶然だ。

一目惚れと言う奴なのかチラリと覗いただけなのに俺は安藤さんの了解を得て、俺はレジで支払いを済ませているのだ。

こんな風に衝動買いに近い形で買っても良いものかと思ったが、そこら辺は安藤さんに任せようと思う。

そして配送の予定を決めて俺達は店を後にした。


-


ちなみに店舗の壁紙だが、服屋の物をそのまま使用する事にした。

掃除すればある程度綺麗になるし、最初から金をそこまで掛けなくて良いってのが安藤さんからのアドバイスだからだ。

そして予定通りに店舗に配送のトラックがやって来た。


「こんにちは笑顔えがお配送です。ご注文した商品をお届けにあがりました」


笑顔の若い二人の女性が声を掛けて来たのだった。


*この物語は犯罪を助長するものではありません(一応)


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