第29話 29
29
俺は今部屋に入って来た白いとても薄いワンピースの女性と対峙している。
とてもとても目のやり場に困るがこれはあくまでも実験だ。
俺は深呼吸をして精神を落ち着け占いを行使する。
「シグナルスキャン」
頭の上から順番に見て行き1分程で占いを終え、指示の通り口頭で答える。
「
「了解しました」
「それでは
俺は指示通りに能力を発動したまま
実際に胃が見える訳ではなく黄色と青のグラデーションの
そして1分程経った時変化が起きた。
グラデーションの
俺は思わず声を出しそうになったが、落ち着いて能力を発動し続けた。
そして最終的に胃の形になり、恐らくだが病気の部分が光っているように見えたのだ。
もしかしてこれが本来のシグナルスキャンの能力なのではないかと俺は思った。
頭の中の情報は以前と変わらず
病気の部分をしっかり見る事によって発動する物だと改めて能力を認識すると同時に、これは新たな武器となるのではないかと思うのだった。
そしてしばらくするとアナウンスがあり第一部の実験終了で休憩となった。
俺は会議室で待つ安藤さんの元へ戻った。
「お疲れ」
「あっお疲れ様、実験はどうだった?」
俺は会議室の周りを少し見て誰も居ない事を確認してから小声で話した。
「少し面白い事がわかったから、その内容は後で説明するよ」
すると安藤さんが目を輝かせて話してきた。
「もっもしかして新能力?」
「そんな訳ないでしょ」
俺は苦笑いしながら否定する。
それから安藤さんが今作業しているスマホ版のホームページの修正画面を見せて貰ったりしていると、会議室のドアがノックされ「次の実験が始まる」との事で俺は実験室へと戻った。
俺は椅子に座らせて、又頭に線の繋がった帽子の様な物を被せられた。
「ただいまより実験体Bの占いを行ってもらいます」
次に入って来たのは男性で、女性と同じように白いとても薄い被り物の服を着ていて、こちらも同様に服の下は裸なのか、下半身には見慣れた物がちらついていた。
俺は男ぐらいパンツ履かせろよと思ったが、そんな事は関係ないと実験は始まった。
やり方は女性の時と同じで占いを行った後に、病気の部分を見つめるのだが俺はふとこの能力について考えてしまった。
実験中に申し訳ないと思ったが考え出すと止められなくなり俺は思考する。
なぜ俺に能力が発現したのかだ。
俺の家系に医者とか医療関係に努めている者はいない。
それに一度親にも聞いた事があるが、特殊な力のような物を発現した者はいないらしい。
もしもだが、医療の知識そう医者の資格を持つ者がこの能力を得たなら、世界中が注目する医師になると思う。
だが発現したのは俺。
医師になる頭の良さもなく能力があるのに医師になろうとさえ思わない。
ただ、この能力にすがり金を儲けようと考えるだけだ。
神がいるとすれば俺に何を望んでこの力を
なにはともあれ、現状に満足せずに前を向いて進もう。
その先に何があるかわからないが。
非科学研究所の実験は無事終了した。
詳細な検査結果は教える事は出来ないが、簡易的な結果はメールで送ってくれるとの事だ。
俺達は大阪支部副代表の
-
俺達は行きと同様にタクシーに乗り込み電車の駅へと向かった。
その車内で俺は安藤さんに研究所で起こった事を話した。
安藤さんは少し驚いてはいたが、俺が元々持っている能力だと説明すると納得していた。
そして俺自身で次の営業戦略を安藤さんに説明するのだった。
それから俺達は電車で難波へと移動しそこから徒歩で
本当は食べ歩きでたこ焼きとかを食べる予定だったが、店にもたこ焼きやお好み焼きがあったので俺達は大阪の味を堪能するのだった。
その日は有名な看板を見たりして俺達は近くのビジネスホテルに宿泊した。
翌日今日は営業をする予定を立てて場所の申し込みもしてあるのだ。
今日の場所は公園内にあるフリーマーケットの一角で行うと言う新しい試みだ。
さらに俺達の営業時間は10時から12時の2時間だけとした。
フリーマーケットなので売る物は占いの結果用紙を販売するのだ。
一応ホームページにも安藤さんが告知をしたのだが、俺はその告知内容を読んで思わず笑ってしまった。
『〇月〇日 場所 大阪付○○公園 フリーマーケット内 営業時間10時から12時 詳細な場所は不明、白仮面を探そう』
どこぞの絵本に出て来るような内容で、これで客が来たら笑うなと俺は思ってしまった。
しかし、健一や安藤さんの知らないネット掲示板では少しの騒ぎになっていた。
*
インターネット掲示板スレッド
『怪しい占いに行ったんだけど興味あるやついる?』
211:名もない占い師
チート持ちが大阪に降臨するぞ
212:名もない占い師
場所と時間ヤバくね?
213:名もない占い師
2時間しか営業しなくて、仮面を探そうってゲームのクエストかよw
214:名もない占い師
俺、家から近いから行くけど会場広すぎて無理かも
215:名もない占い師
行くやつは人海戦術で散らばって仮面を探そう
見つけたらカキコしよう
216:名もない占い師
なんで大阪だけこんな扱いなんだ?
217:名もない占い師
そこは、なんでやねん!ってボケろよww
218:名もない占い師
ボケとる場合じゃない。必ず仮面を見つけたる
219:名もない占い師
仮面クエストを受注した奴は頑張れよw
*
俺と安藤さんはフリーマーケットの会場を歩きながら自分達の場所を探した。
正直に面積が広すぎて何処かを迷ってしまう広さだ。
俺達はなんとか指定された場所へとたどり着いて準備を進める。
今回はスーツケースに入るように準備してきたので、全て小さくコンパクトにまとめて来た。
まず、折り畳みの小さな椅子が2脚とそれに匹敵する小さな折り畳みテーブルが一つだ。
看板はいつも使っている折り畳み式の譜面台にポスターを張り付け準備は完了した。
開店して安藤さんの想定通りに客は来ないので、俺は安藤さんと回りにあるフリーマーケットのお店について話したりして楽しんでいた。
そして1時間が経ち残り1時間を切った所から客がどっと押し寄せた。
俺達はこんなはずではなかったと思いながら客をさばいたのだった。
俺達は予定通りに営業を終えるとフリーマーケットの買い物へと繰り出した。
正直俺はあまり購買意欲がないのでウインドウショッピング的な感じだったが、安藤さんは右へ左へ珍しい物があるのかフラフラと見て回り買い物を楽しんだ。
その後、大阪から名古屋への電車切符は
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