転生蛾嬢様と魔王特注戦車

イズラ

〈プロローグ〉砂漠の商人

——ある世界があった。俗にいう『異世界』。

——そこの、とある砂漠地方にいた、話したがりな商人。物語の前に、彼の話を、少しだけ聞いていきましょう。


     *


 この世界には、『魔物』っちゅう異種族が存在しててな、その党首が『魔王』っちゅー訳や。

 で、その魔王さんいう人の魔物の国は、『人間の国王が治めてるある国』と戦争してる。

 理由は~、まぁいろいろあった。


 んで、最近 その魔王さんが『新しい兵器』を取り入れたらしいで。

 その兵器っちゅーのは、『意思を持った戦車』や。すごいやろ?

 『魔王さん特注』の5台の戦車は 人間の国に対抗するために作られたんやけど、『いろんな意味で自由』だから、命令聞かずにそこら辺ウロウロしてたらしいで。


 で、何が言いたいかっちゅーと、そいつら強すぎて、最近『異世界の一部のエリア』を統治しちまったんよって訳や。

 物騒な戦車たちは もはや”第3勢力”として、暴れ回っとるんよ。

 さすがに魔王さんも制止しようと魔物送ったらしいけど、返り討ちにあったらしいで。ちょっと強かったな~。


 一方 人間の国はそんなこと関係なく魔王軍を攻撃してるらしいで。魔王さんもご気の毒やな。


 で、早速 人間の国から派遣されたパーティ一組。

 リーダーは勇者さん、という名の怠惰な女剣士らしい。噂だと、見た目や言動は頼りないが 実力は確からしいで。


 てことで、今から商人のワイが、あいつらにアイテム売りに行ったったるわ。

 邪魔して悪かったな。んじゃめな~。




──えーそこの旅人さん、アイテムはいかがですかー?


──え?『黙れ野郎』ですって?そんな~……!


──そこを何とか~、ほら見てください! このポーション!綺麗でしょ~? 綺麗、でしょ~? で、このポーション! 綺麗なんや~、ほな買うな~。な~?


──な、な、買ってけよ。あ? しつこいぞ野郎』だって~? いや~、めちゃくそひでーな~。潰すぞ~?


──あ? ……あぁ〜、よく分かったな~。そ、わいがここら一帯を統治する──


     *


 —―人間の国々、魔王軍、そして殺戮戦車との果てない戦争を描いた異世界小説。

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