体調が悪かった私、質問される。

「いや、これぐらい3日前の事知ってる人なら誰でも分かる」


私が尊敬の眼差しで松村君を見ていたら、ツッコむ様に彼はそう言った。そうなの?!誰にもわかっちゃうものなの?!ー本当に三日間の間に何があったって言うの…気になるし聞きたいけど、松村君は多分ロクな目に遭ってないから安易に聞けない。


松村君は思い出したように言った。


「あ、質問三つぐらいしてもいいか」


「質問?良いけど〜なんで、もう分かっちゃってるんでしょ?」


そうだ、松村君はもう理解してそうだもん。真面目だし賢そうだし。


「確認のためだ」


「…わかったバッチこい!」


私はトンと胸に手を置く。今のはどんな質問もかかってこいって意味ね!…古いかな。



「一つ目蜂山さん、大腸菌にかかったとか言ってたけどちゃんと病院行ったのか?」



「…いってないデス…、妹が大腸菌になったから感染したのかなって」



実は行ってません。ネットで調べたら症状ぴったりだったし、二日前妹が同じような症状が起こって病院行ったら大腸菌だったから、私もそれかなって思ったんだよね。お母さん達も大腸菌ねって言ってたし。薬も妹が使ってたやつ使っちゃった。


ズボラすぎかなぁうちの家族、しんどいのは本当しんどかったんだけどね。



「二つ目、最近誰かからの視線を感じる事はない?」


「ある、前帰ってた時誰かにつけられていた気がするし、学校でも気持ち悪い視線感じたりする」


しかも帰り道ついてきている人と学校の人は別の人な気がして怖くてしょうがなかった。このクラスになる前はそんな事無かったのに。ちょっとあの視線思い出しちゃった。…今日は走って帰ろう。



「やっぱり…じゃあ最後、休む前の前日友達から飲み物や食べ物を貰って口に入れたりしたか?」


「え…どうだったかなぁ、確かその日水筒忘れちゃってて…あ、田中ちゃんから水筒一口だけ貰ったんだった」


「…!田中から?」


ぴく、と松村君が動く。どうしてこんな事質問するんだろ。


「うん」


「そうか。これで終わりだが…ンンッ、終わりだけど…」


これで三つの質問は終わり。

彼は咳払いして、硬い喋り方から少し柔らかい喋り方へとか変わる。ええさっきのは作り物の声だったの?!うーん、そんなキャラ作りみたいなの私の前ではしないでほしいなぁ。距離感じちゃうし。


「素の喋り方でいいんだよ?」


私はコテ、と首を傾けそう言う。松村君にも喋りやすいようにして欲しいもんね。ウィンウィンの関係を続けたいし。


「…終わりだが蜂山さん、君はこれから何を貰ってもそれを口に入れるな」




「ど、どうして」


松村君は何かさっきの問答で気づいたのだろうか?これが彼の素の口調なのか、さっきと打って代わりキリッと、厳しくて威圧を感じる感じで喋っている。静かだからか余計にインドア系の体育の先生みたい。…矛盾だ。


何をもらっても口に入れるなって、どうしてだろ。…食べちゃ駄目って、私結構友達や後輩のの弁当とかお菓子とかもらったりするから、断らなきゃいけないね。うう心が痛む。


すると松村君はすう、と息を吸って間をあけて言った。


「毒を入れられた可能性がある」




「…毒?」



なんだって…!!

毒を入れられる、その不気味さから身体がぶわっとした。


「憶測だが、君は大腸菌ではなく田中からもらった水筒に仕掛けられた毒でやられていたかもしれない。だって腹にくる症状だろ」


た…確かに、私は田中ちゃんに帰り道にお茶もらって帰ってから体調が悪くなった。ああちゃんと病院行っとけば良かった…後悔だよ。私は何もしてないのに毒を盛られていたなんてなんかムカッとする。今度から田中ちゃん、と呼ぶんじゃなくて呼び捨てで、田中って呼んでやろ。


「う、うん…。じゃあ私は病気じゃ無かったんだ」


ーキーンコーンカーンコーン



授業が終っちゃった。

やばい全く作業が進んでないよ、先生にまだ0の状態の私の作品見られないと良いけど。



「じゃあ、気をつけろ、もし飲ませてこようとしたら俺に言ってくれ」


「いつでも駆けつけてくれるの?」


ふふっと冗談混じりに笑う。

勿論期待はそこまでしていない、だって帰り道とかに来たら逆に怖いもん。


「…できる限りは」


わお、かっこいいね。

ヒーローみたいじゃん。


「ーねえ、ミチカ渡したいものがあるの…放課後残っててくれない?」


私達が話していると、後ろからぬっと田中ち…田中が現れた。


…ちょうど君の話をしていたんだよねぇ、

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