第2話 涙~次男の人生~

毎年、公立高校の合格発表日が来ると思い出す。

ハラハラドキドキしながら発表を見に行ったことがつい先日のように感じる。

次男と高校まで一緒に行き、正門の前で『ここで待っているから結果を見ておいで』と。

ほどなくして戻ってきた息子の口から出た言葉は『なかった』

『え?本当になかったの?よーく見ておいで見落としているだけだから』

自分の受験番号が掲示されていなかったということだ。

息子が不合格なんてあり得ない。

確実に合格できる学校に出願したのだから。


再度合格発表の掲示板を見に行って戻ってきたが返答は同じ『なかった』

頭の中が真っ白になった。息子は泣くこともなく毅然とした態度で『帰ろう』とただ一言。


我が家は貧乏だから滑り止めの私立高校は受けていなかった。確実に合格する公立高校に出願したのだから合格するものだと思っていた。

息子の『なかった』の言葉にショックで言葉も出てこなかった。


帰り道に息子に『どうする?』と尋ねたが返事は

『・・・・・・・・・・・・・・』だよね。私は心の中で泣いた。息子が一番泣きたかったんだと思う。それなのに私が泣いてどうする。グッと涙をこらえ無言で帰った。


自宅に着くと長男(高校2年)と三男(中学1年)が待っていた。

『どうだった?』と長男が聞いてきた。首を振り暗い表情で家の中に入った。

沈黙が続いたが次男が『大丈夫だから』と言いながら涙を流した。

皆で泣いた。泣いて泣いて泣き崩れるまで皆で泣いた。



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