777円バトルロワイヤル
だら子
第1話
僕はこれから犯罪者になる。
息を吐き、いつものスーパーに入った。
3年前、このスーパーにミキは殺された。
*
「ラッキーセブンだっ!!」
ミキは俺に笑顔を見せる。
「私が、余計なパン買ったから、ラッキーが降りてきたんだな」
僕はミキの笑顔が見れて一番嬉しい。
昼下がりの日曜日、
チキンのトマト煮込みに使う、トマト缶と隠し味のローリエを買う。それだけのためにスーパーに一緒にきた。
帰りに、ちょっと有名なジェラード屋さんに行く予定。
僕はいつものピスタチオ、ミキは、ストロベリーとミルクのWを食べるだろう。
まだ春だが、日差しが眩しい。
ジェラードはすぐ溶けるから、ティッシュ、もっと持ってくればよかったな
なんてぼんやり思う。ミキはすぐに手と口がベトベトになる。
そこに僕の電話が鳴った。
「あ、ちょっと仕事の電話だ。ごめん先車に戻ってて!!」
「わかった!!あとでさ、大事な話があるんだー!!いいニュース」
グッドポーズをするミキ。
僕は「はい大丈夫です」といいながら、ミキに右手を上げる。
すると、すぐに大きな音がした。
悲鳴が聞こえる。
「救急車を!!」
そんな声がして、胸騒ぎがして、電話をすぐに切り、走る。
そこには、横たわるミキがいた。
「トマト缶が潰れただけだよね?」
人間は極限に追い込まれると、何をつぶやくかわからない。
ティッシュ持ってくればよかったな。ああ、手も口もベトベトじゃないか。
そこからの記憶は、なかった。
救急車が来るまで、僕はミキの名前を呼び続ける。
結婚一年目の夫婦の日曜日だった。
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