ギャルゲー世界の寝取りキャラに転生した俺は、押しキャラである悪役令嬢が婚約破棄されるのを阻止するために本気を出す。
煙雨
序章
第1話 転生
「ここはどこだ?」
目を覚ますと、見たことのない天井であった。すると、一人の女性が中に入ってきた。
「ダイラル様、おはようございます」
「......」
その名前を知っている。俺はすぐさま鏡の目の前に立つと、案の定思っている人物であった。
(ダイラル・ロート.....)
理解が追いつかなかった。なんせ、ダイラル・ロートが存在していたのは、俺がやっていたギャルゲー【貴族令嬢とのハーレム生活】に存在していたキャラクターなのだから。
それも、俺が一番嫌っていたキャラクターでもある。ダイラルはメインヒロインを確実に一人は寝取る極悪キャラ。
(最悪だ)
俺が何度このキャラクターを恨んだことか。それほどに憎たらしい。
なぜ恨むのかって。そんなのハーレムを作る妨げをするからだ。それに最終的には主人公のことも裏切る。
ハーレムモノのギャルゲーをやっている以上、ハーレムを作りたいと思うのは当然だ。だけど、ダイラルがいる所為で、完全なハーレムを作ることができない設定になっている。
それも、よりにもよって俺の好きなキャラクターである公爵令嬢と結ばれる設定がほとんどのルートに組み込まれている。
このゲームの途中で、主人公がヒロインと付き合いだすと、主人公の婚約者で公爵令嬢でもあるクレア・スタンレイが闇落ちしてしまう。そこに甘い囁きをするダイラルが寝取るというのが、このゲームの王道ルートである。
「はぁ......」
「お疲れでしょうか? でしたら、習い事は明日に延期しますか?」
「疲れてはいないけど、今日はちょっとやりたいことがあるから、明日でもいいかな?」
「はい」
話が終わると、メイドらしい人物はこの部屋を後にした。
「まず何をするべきなのか」
はっきり言ってやるべきことがわからない。でも、やりたいことはある。
(クレアを幸せにすること)
それには、まずクレアと会う必要がある。でも、合うと言っても、今の俺と会っていいのかと思ってしまう。
クレアと友達として接していけるぐらいの男になってから話したほうがいいのではないかと思った。
それに加えて、この世界の情報が少なすぎるため、色々と情報収集をしなくては行けないとも考えた。
「まずは情報収集をしながら、自身を鍛えるか」
そう考え、日々の剣術・魔法の稽古がない日は、図書室へ篭るようになった。
そんなある日、図書室へいると【貴族令嬢とのハーレム生活】で唯一貴族ではないレアキャラ---アリシア・ケルンと出会ってしまった。
(そういえば、アリシアってダイラルの専属メイドになる人だったな)
ここから、ダイラルとアリシアによるクレア幸せ作戦が始まるのはそう遠い話ではなかった。
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