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「それなら、よかった」
ぼくはお父さんに寄りかかったまま、着ているブランキージェットシティーのTシャツの右の袖から、『ちょっとしか出ていない』自分の腕を見つめながら、生まれてはじめての満足感に浸っていた。
ぼくが幼なじみと一緒に、死を決意して、火星と地球と、人類みんなの命を救ったのだ。
片腕がなくなったからと言って、一体それが、どうしたというのだろうか。
多分ルキンのお腹の中にいたときに、レヴィのあの爪が当たって斬れてしまったと思うのだけど、むしろそれは勲章に過ぎないし、今以上の結末なんて、きっとどこにだってないはずだ。
——でも、そのあとに起こってしまったことこそが、ぼくとみかんにとって、かつてないほどの、最後にして、最大の試練だったのだ。
みかんのおばさんの声で、ぼくはそのことを思い知った。
「みかん! みかん!」
振り向くと、意識を失っているみかんが、おばさんにうつ伏せになりながら、だらりと寄りかかっていた。
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