僕の幼馴染(かのじょ)ちゃんは多属性
せいや
①起床~登校編
「僕の幼馴染(かのじょ)ちゃんは多属性(せわしない)」
「おはよー! 学校行こー!」
「幼馴染ちゃん、ノックする時はドア壊さないでっていつも言ってるよね」
「目覚まし代わりの破砕音! 感謝は王子様の熱い口づけでお支払いください!」
「お礼にドアの請求書をお見舞いするね」
~ ~ ~
「僕と幼馴染ちゃんは仲良いわねぇ」
「ありがとうお義母さん!」
「まだ結婚してないよ、幼馴染ちゃん」
「まだっていうことはいつかしてくれるんだね!」
「式はいつ挙げるの?」
「父さん、高校卒業前にお祖父ちゃんになっちゃうかー」
「余興ならお姉ちゃんにお任せあれ☆」
「僕の家族はしこたま幼馴染ちゃんに甘すぎる」
~ ~ ~
「ルンルンッパ! ルンルンッパ! スキップスキップララルルララ♪」
「……」
「幼馴染ちゃん、そのツインテール――」
「ダメ」
「ツインテールに触れて――」
「ダメ」
「ちょっとくらいいいじゃん、ケチ」
「一時の欲望のせいで世界が滅びてもいいの?」
「君の頭は核爆弾の起動装置か何かなの?」
~ ~ ~
「犬の嗅覚は人間の何千倍とも言われているんだ」
「私も鼻には自信あるよ!」
「具体的には?」
「出来立てのカレーと三日寝かせたカレーの判別ができる!」
「無駄に凄くて無意味な性能だなあ」
「あ、僕くんシャンプー変えたでしょ? 一週間前に」
「過去まで嗅ぎ取るとか刑事かよ」
~ ~ ~
「登校者が増えてきたからそろそろ手離してよ」
「いや! そうやってまた私を捨ててどこか行くんでしょ!?」
「僕は昼ドラの主人公になった覚えはないんだけどなあ」
「男っていっつもそう! 小さい頃した約束なんて忘れてるんだ!」
「少なくとも結婚しようなんて馬鹿げた約束をした覚えは――」
「一緒に魔王を倒して世界を平和にしようって言うから転移魔法覚えたのに!」
「僕の幼馴染(かのじょ)ちゃんはチート持ちだった」
~ ~ ~
「来たわね! バカップル!」
「幼馴染ちゃん、見て。蝶々が飛んでるよ」
「ホントだ! もげたドラゴンの羽が落下してるみたい!」
「ドラゴン倒せるの?」
「うん! ていうか食べたよ!」
「マジ? どんな味?」
「焼肉のタレに浸けたらマッチしそうな味だった!」
「あはは、そんなのどの肉だっておんなじじゃないか」
「お願いだから空気みたいに扱うのやめてよぉ!」
~ ~ ~
「もう泣き止んだ、ツンデレちゃん?」
「ふ、ふん! あれは泣いたんじゃなくてあくびのついでに漏れただけよ!」
「へー、そうなんだ」
「いつになく気怠げな幼馴染ちゃんのレスポンス」
「それより幼馴染ちゃん! 今日こそ僕をかけてあたしと勝負なさい!」
「はいはい」
「勝負の方法は定期考査の合計点よ!」
「はーい」
「ちょ、気もそぞろで一体何を考えているのよ!?」
「己が立場をわきまえず無知蒙昧をひけらかし愚かにも私様の所有物を掠め取ろうとする泥棒猫を限界まで苦しめて虐殺する方法だが?」
「幼馴染ちゃん。あまりの眼力でツンデレちゃんはもう失禁してるよ」
~ ~ ~
「害虫駆除が終わると気持ちいーね!」
「まるで毛づくろい終わった直後の猫みたいな気安さで言うなあ」
「ニャニャン♪」
「かと思えば獲物を見つけたハイエナみたいに飛びついてどうしたの?」
「マーキング!」
「ああ幼馴染ちゃんの中で僕はもう本当に所有物扱いなんだね」
~ ~ ~
「一時間目から体育だ~!」
「ストップ、幼馴染ちゃん。着替えるなら更衣室を使いなさい」
「え~! ぱぱっと終わらすからだいじょぶだいじょぶ~♪」
「君の地肌を僕以外の誰かに見せる権利を与えたつもりはないよ」
「……はい♡」
「誰か塩持ってきなさい、塩! バカップルのお祓いよ!」
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