星を駆ける

@jibakoma

第1話  生まれつきの力

 《はしがき》


 まず、断っておきたいことはこれは筆者のオリジナルでは無いということである。どこかの作品である話を見て、数年ぶりに、もう一度読み返してみたいと思った。しかしいくら探しても見つからなかったので、仕方なく自分で書くことにしたのである。

 よって、元から二番煎じであるから読者のみなさんは初めからそのつもりで読んでいただけるとありがたい。


1.

 はじめに生まれたのは男であった。名をユウという。彼はそれ自身に特別な才能ということはなく、高校などにあっても成績は大概が国語がいつも5であり体育がいつも2であるというよくいる文学少年というやつだった。


 だがその男には自身を高める才能ではなく、他者を産み出す力があった。彼の力は生まれてすぐ、発現し始めた。

 最初の兆候はレントゲンで胎内を写した時。男であるのか女であるのか、その時々で変化し生まれるまで判別できなかった。 

 次の兆候は小学校で他の同級生たちとあそんでいる時に現れた。この年ごろの少年というものは、異性というものを意識し始める。その意識が求愛であるのか、あるいは恐怖なのか、どちらにせよ距離を遠くに置きたがることが多い。しかし、ユウは物怖じせずに少女たちの輪に入っていく。この時のユウはまるで、本当に女子になったかのように距離を近づけあい、内密の話に興じていたのだ。


 そして、中学生のユウに決定的な転換が訪れる。 ある日ユウが湯船を出て、さっさと風呂を出てゲームでもしようか。などと考え目を閉じながらシャンプーで髪を洗い、シャワーを浴びて体を洗おうとした。そして目線を落とすと、、、ない。ない。ない。

あるはずの「もの」がそこにはなかったのだ。そしてそこは割れ目になっていた。

「ぎゃーーーーーーーー!!!!」あまりのショックで叫び出すと、母親が遠くから 

「うるさいよ!テレビの途中なんだから!」と叫んでいる声が聞こえた。しかし、ユウにとってはそんな日常と今目の前に広がっている光景が信じられなかった。

 そう、ユウには自分の体にもう1人の自分を住まわせることが出来たのだ。

 

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