第110話・受容と幸福、足舐めの解禁
いやまぁ、そもそもの話なんですけど。
僕、お嬢様と一緒にいる時は、ほぼ毎日誰か(主にはジェニカさんです)のお足を舐めさせてもらってたんですよね。
けど、お嬢様と離れ離れになってしまって、ヘキにうつつを抜かしている場合じゃないなって思って。
お嬢様の元に帰るまで、願掛けの意味も込めて足舐め断ちをしていたんですけど。
「足舐め断ちのせいで集中が乱れてダンジョン探索に支障が出るなら、……お嬢様の元へ帰るための行程に支障が出るなら、それはもう意地を張っている場合ではないな、と思いまして」
なので、お二人に恥をしのんでお願いします。
お二人のお足を舐めさせてください。
お願いします。
なんでもしますからお足を舐めさせてください。
僕は小さく丸くなって土下座をし、お二人にお願いをしました。
「足舐めって、お前……」
メラミちゃんは渋い顔を浮かべます。
いえまぁ、はい。
その反応は、ごもっともだと思うのですが。
というか、なんだかんだ言いながら嫌な顔ひとつせずにお足を舐めさせてくれていたお嬢様たちは、よほど寛容だったと思います。
「……舐めるだけでいいのか? それなら、ほら」
と、キャベ子さんがベッドに腰掛け、右足を持ち上げてみせました。
キャベ子さんの足の裏が、あらわになります。
うわっ、これは……!
「…………じゅるり、」
思わず、ヨダレが出てしまいます。
キャベ子さんの足の裏。とっても硬そうでゴツゴツとしていて、悠久の時を生きた大樹の根のような趣があります。
味もそれだけ熟成されていそうで、深くて濃くてまろやかな味がしそうです。
あるいは、長く長く漬け込まれ大量の素材からゆっくりと染み出した醬と、円熟させた味噌で作られたスープのような。
深いコクと味わいのある、そんな足の裏をしています。
お、お足……!!
僕がふらりと近づいてキャベ子さんのお足を手に取ろうとしたとき、
「……痛っ!?」
メラミちゃんにデコピンをされました。
そしてキャベ子さんのお足を下ろさせると、メラミちゃんは自らのお足をじっと見下ろしました。
「お前なぁーー……」
呆れたのか、はたまた軽蔑されたのか。
メラミちゃんは渋い顔のままガリガリと頭をかきます。
……あー、いえ、その。
…………ごめんなさい。
さすがにガッツキ過ぎました。
あの、お二人とも。
僕、メラミちゃんやキャベ子さんのお足を舐めたくてたまらないんですけど。
それでもその、無理やりにというか、嫌々というか、そういうので舐めさせてもらうのも違うと思いまして……。
その、少しでも嫌だというのなら、仕方がありません。諦めることにします。
どなたか別の方か、……皆さんダメだと言うのなら、それ用の女神様像を作って、その足をかわりに舐めることにします。
それでも、多少は落ち着けると思いますし。
禁断症状もある程度は治ると思いますし……。
「なんつーのか……。いや、足舐めさせるのは別に良いんだけどよぉ……」
あ、良いんですか?
「良いんだけどな。……なんでアタシとキャベ子なんだ?」
……なんで、とは?
「いや、ミーシャとかヘリーとか、ロビンはちょっとあれとしても、フラーとかもいるじゃん。そっちのほうがよっぽど良くないか? キャベ子はともかく、わざわざアタシを選ばなくてもいいんじゃねぇか?」
え、だって。
「お二人とも、お足がとっても美味しそうですし。……それにその、正直言うと僕、メラミちゃんの太ももは、一目見たときから一度味わってみたいなってずっと思ってまして……。せっかく長い足舐め断ちをしてたのをやめるんなら、一番心躍るお足を舐めたいじゃないですか」
「……それはなんだ、あれか。アタシに一目惚れしてた、って言いてぇのか?」
あー、一目惚れ。
なるほど。言われてみればそういう表現もありますね。
「そうですね。美しさに見惚れてしまっていました」
「……ってことは、あれも、……あれも、……あの時のもか?」
メラミちゃん、なんだかブツブツと呟きながら考え込みます。
いやでも、本当にメラミちゃんのお足って美味しそうだったんですよ。
ハリがあって締まってて、見るからにスベスベしてて。
健康的に焼けた小麦色のお肌が、どことなく女神様のお肌に似ていて。
例えるなら、甘くて滑らかで濃厚なホットチョコレートと言いますか。
はたまた搾りたて新鮮な牛乳で淹れたロイヤルミルクティーと言いますか。
そういうイメージがありますね。
とろけそうなほど甘くてまろやかな印象のお足です。
「……ふん。まぁ、そういうことなら、しゃーねーか」
と、なにやら一人で納得したメラミちゃんも、靴を脱ぎ捨ててキャベ子さんの隣に腰掛けました。
うわぁっ……!
素敵なお足が並んでいます!
「……ごくり」
あのあの、お二人とも。
最後の確認なんですけど、……これは、舐めても良いということですか?
「ああ」
「もちろんだ」
その、舐め始めたら我慢ができなくなって、気が済むまで舐めてしまうかもしれませんが、……それでも舐めて良いですか??
「良いってば」
「任せろ、ナナシ」
僕、今、なんというか、……泣きそうなほど嬉しいです。
お二人に許されたというか……、認められたというか……。
僕のことを、受け入れてくれたことが。
「もう泣いてんじゃんか」
「ふふふ。そんなに嬉しいんだな」
僕は、ふらふらとお二人の足元にひざまずき、お二人のお足を手に取ろうとします。
が。
「バカ、なんでそんなとこ座るんだよ」
「ナナシも、こっちに来るといい」
お二人に手を引かれ、ベッドの上にポイっと横たわることに。
あの、えっと、これは……?
「お前だけ舐めるってのも、ふこーへーだろ」
「ワタシも、ナナシの味には興味があるぞ」
と、いうことで。
僕はお二人に片足ずつ持たれて。
お二人のお足が、僕の足に絡みつきながら顔の前に伸びてきて。
僕はお二人のお足を。
お二人は僕の足を。
お互いに舐め合いっこする形で味わい合いながら。
夜明けが来るまで、ベッドの上でお互いを貪り合ったのでした。
……はぁ、幸せ。
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