短めの小話・2


 暗妖の大礁海の海域を脱した次の日。


「そういえばジェニカさんって、年下の男の子が好きなんですか?」


 僕がカベコプターを操縦しながらジェニカさんに聞いてみると、僕の背後でジェニカさんが固まった気配がしました。


「それとも僕みたいに、女の子に間違われるぐらい可愛い顔をした幼い男の子が、ジェニカさんの肌を情熱的に求めて舌を這わせるというシチュエーションに興奮するんですか?」


「な、な、なにを言っているのかな!??」


「いえだって、僕がお足を舐めたときに一番嬉しそうな反応をするのはジェニカさんですから。そういうことなのかと思いまして」


 ちなみに、女神様は驚愕、お嬢様は慈愛って感じがします。


 ナルさんのお足はまだ舐めたことがないので分かりません。


 いつかあの、舌が切れそうなほど鋭く美しいお足を舐めさせていただきたいものです。

 無理強いはできないので、今のところは機会を得られるのを待つしかないのですが。


 それはさておき。


「そうでもなければ、僕がお足を舐めてるときにかこつけて、自分のお股を僕の顔に押し付けてきたりはしないでしょう? 僕も興奮して訳が分からなくなってるときだったので普通にいっぱい舐めちゃいましたけど、舐める前からビチャビチャだったのは覚えていますよ」


「わー! わー!! わーー!??」


 ジェニカさんが必死で何か言おうとしていますが、あまりに恥ずかしくて言葉にならないようです。


 お嬢様は内心の読めないニッコリ笑顔で話を聞いていますし、ナルさんは武士の情けで聞こえないふりをして、寝たふり(下を見るのが怖いというのもあるのでしょうけどね)をしています。


 まぁ、僕が何を言いたいのかと言いますと。


「あの、ジェニカさん。僕以外の、僕ぐらいの歳の男の子にそんなことさせちゃダメですからね? よそでやったら普通に捕まると思いますので」


「さ、させないから!!」


「あと……、そうですね。僕もいつもジェニカさんのお足を味わわせていただいている身ではありますので……。してほしいなら。そう言っていただければ、ご満足いただけるまで僕がしますので」


 どこでも、どんな感じにでも。

 舌を這わさせていただきますよ。


 ジェニカさんのお肌も美味しいですし。


 それだけ言って、僕はカベコプターの操縦に集中し直しました。


 少し風が強くなってきたので、一応警戒し直すのです。


「……ジェニカさん」


「違うんです、ハローチェさん……」


「……アンタもなかなか、たいへんだな」


「ナルさん……、寝たふりをするなら最後まで聞いてないふりをしててくださいよ……」



 などなどと、他愛のない話をしながら海上を進み続けていたところ、海の向こうに大小様々な島が寄り集まった諸島群が見えてきました。


 あれがワーフー諸島連合国だということで、ゆっくりと近づきながら、僕は着陸場所を探したのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る