魅惑のガサガサ
「コンビニ行ってくるー」
これは下僕が外へ出てく時の鳴き声ですわね。
今日は日差しが照って温かいですから別にどうでもいいですわ。
外がよく見える木の台座でお昼寝といきましょうか。
以前、下僕が縄張りに持ち込んだこの木の台座は日当たり良好で私が昼寝をする為だけにあるといっても過言ではありませんわね。
ぬくぬくですわ~。
あぁ、この台座はおさまりがよくて良きですわ~。
ぽかぽかです……わ……
「ただいま~」
「おかえり~ってエコバック持ってかんかったの?」
「持ってくの忘れた。はいこれ、お高いオレンジジュース」
「おヨーグルトは?」
「今食べるの?」
下がうるさいですわね。
せっかく微睡んでいましたのに。
まぁ、いいです。もうひと眠り……
「[好きな名前を入れてね]~、ただいま~」
『うるせーですわ!』
そう足音立てて来られると、おちおち寝てもいられませんわ。
「ま~た椅子占領してら」
少し小腹が空きましたわね。
ちょうど縄張りの蓋を下僕が開けたことですしカリカリでもつまむとしましょう。
『下僕、ついてきなさい』
「よし、椅子が空いた」
『来い、つってんですわ!』
「下で読むか……」
まったく蓋を開けるのは手間なんですのよ。
『開けて』
「はいはい」
『カリカリ』
「ちょっとだけね」
今日のは魚味ですのね。
『食い足りねーですわ』
「さっきも食べたでしょ」
あ、この鳴き声じゃ期待できませんわね。
あら? この音!
『ガサガサ、ですわー!』
さっきから下僕が持っていたの気になってましたのよ?
そしたらやっぱりでしたわ!
この音、この感触——たまりませんわー!
突っ込む度、叩く度に形が変わるのも面白いんですのよね。
中に入って感じる微妙な狭さがなんとも言えませんわ!
偶に出られなくなりますけど、入らずにはいられないんでのよ。
舐めた時の舌触りも——ぺろぺろですわ〜!
「こら、舐めない。舐めるなら没収」
そ、そんな!? 返して〜!
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