保存料山盛り弁当


保存料山盛り弁当



 ー アオイ・スス・ニャラケルの部屋 夜21時20分 ー



 「ふぃ~、ただいま」


 「おかえりアオイママ。ご飯にする?シャワーにする?それとも膝枕♡」


 「どんだけ我慢できないんですか?泥棒猫ニャラケルめ」



 アオイが帰ってきましたか。正直バイトなんてせずとも

不死者の人体錬成で得た資金でいくらでも遊べるというのに。


 

 「堪忍な~。シャワー浴びてからや。

昨今質の悪い流行り病があって衛生面でしつこく詰められて」



 そういってシャワー室へ。ポケットマネーでお風呂でも作りたいが

それなら浴場を貸し切ったほうが早いですし。



☆☆☆



 「ふぅい~。上がったでぇ」


 「ご飯なら出来ていますよアオイ」


 「膝枕♡膝枕♡」



 アオイが床に座った瞬間にニャラケルが膝枕を堪能しています。


 ・・・・私でも食事中は控えるというのに。



 「そや、皆におみあげ。売れ残ったパン、賞味期限が今日までなんよ」


 「ありがたいですね。いただきましょう」



 ニャラケルをアオイと引きはがし2度目の夕食とします。


 流石に寝っころがりながら食べるのは行儀が悪いので。



 「むぐむぐ・・・・。有機生命体は愚かですね、こんなおいしいパンを

廃棄する企業があるなんて。にゃひひひひ」


 「あーそれ、添加物たっぷりで2か月前のパンや♪」


 「に、2か月ゥ!!!!!!」にゃんですと!!



 いえ、そういった長期保存用の種があることは把握しています。


 けど今回のは防腐剤じゃ・・・・。



 「こっちのパンは大丈夫そうですね」はむはむ


 「あーそれ、賞味期限のシール張り替えたヤツやな。

 シールんとこ袋がよれてるからなぁ~」


 「せめて食べる前に言って欲しかったです!!!!」



 賞味期限切れても大丈夫ですけれど、保健所のガサ入れ依頼しておきますか。



 「ちなみに食堂は黒の狂気じしゅ きせいだらけや」親指グッ!


 「えっと飲食店のバックヤードでは遭遇率が高いと聞きましたが、

もしやアレですか?」


 「今日は4キルや」


 「いやじゃ!!!!!!!!もう聞きとうない!!!!!」ガン!ガン!



 テーブルにガンガン頭をぶつけて三途の川へ凱旋しようと思いましたが

ニャラケルに止められました。


 先生、助けて!!!!!この世は腐敗にまみれています!!!



 「八ッ!ここは!そうです、先生に会いに行こうとしたんでした!」


 「今やるべきは過去の思い出にすがることではなく、

アオイママのバイトを辞めさせることでしょう?ススパパ」



 「返す言葉もありませんね。


 私とニャラケル、先生で錬金術部を作ったんです、

是非ともアオイにも入ってもらいたくて」



 「んーバイトがない日はええよ。でも科学部と被るやん。

こう材料混ぜてなんかできたー!が錬金術やろ?」



 スス・ニャラケル (すっごい雑ゥ!!!!)


 

 「え、ええ。一般的な錬金術はそうですね。


 しかし!我々の提唱する錬金術とは!無から有を生み出す!


 つまり”ホワイトカラー”的なアンチ肉体労働のことです!!!!!」



 「まあウチの仕事は肉体労働やからブルーカラーやな。


 でも事務は事務で就職厳しいみたいやで?」



 「ええ把握済みです。でもそれは同一どういつ条件の話です。


 同じ職場で働くならば上下関係を理解している運動部、

もしくは美男美女の顔採用で決定されます。・・・不条理ですがね。



 それを覆すのが”資格”というやつです。



 部活のレギュラーに成れないことが確定した人材は即練習量を減らし

資格勉強したほうが人生の効率がいいんです。


 私は有象無象に応援されても感情が燃えませんので。きひひひひ」



 「ススは道徳勉強したほうがええで」ドン引き



 「最後のは本音ですが表立っては言いませんよ。


 錬金術部は主に商業学校で学ぶ資格を取得し、

私のポケットマネーで経営をする実戦向き学問。


 アドバイスこそしますが失敗も成功も大いに結構!


 独立して成功する人間など10人中1人でも上出来なので」



 「にゃひひひひ、いわゆる金の卵の捜索、

難しい言葉でいえばスタートアップ企業の支援」



 「せやけどそれだとススにメリットないやろ?」



 「やってることは銀行と同じ。時間が経てば利子付けて返してもらいます。


 そして重要なのが”錬金術部・スス伯爵”から支援を得たという”情報”」



 アオイが混乱してきましたね。まあ仕事終わりで専門外の話ですから。



 「情報?」


 「企業イメージというやつです。


 広告を打って知名度を上げるにも成功例が無ければ意味がありません。


 そこでお金だけ払って成功例を育成するんです。


 私は何もしていないのに末端が成功すればするほど錬金術部やスス伯爵の

知名度は上がりますよね。勝手に恩義を感じてくれたり」



 「なんか新手のねずみ講みたいやな」



 「詐欺ではありません、ビジネスのお話。


1、優秀な人材をお金で釣り企業させる。

2、利子の回収および私たちのイメージ上昇

3、後は勝手に優秀な人材が集まってくるんです


 その足掛かり、私はアオイを引き入れます。


 バイトなどではなく正社員で採用しますよ?」



 自分で言うのも何ですが圧倒的な資金を持つ私が組織のリーダーなら

断る理由がない。


 クビになる心配もなければ給料の支払いも盤石だ。



 「んー、錬金術部は無理やな・・・・だって」



スス・ニャラケル 「「だって?」」ごくり



 「ウチ入れても3人。部活やなくて同好会やん!!!」



スス・ニャラケル 「「突っ込むとこソコォ!!!!!!」」



 確かに生徒手帳に部活動として認められるのは5人以上もしくは

実績のある場合と書かれていますけれど・・・・・。



 ☆☆☆



 先生が正式に書類を出し錬金術同好会はスタートした。


 なおアオイは1か月程度でバイトを辞めたので”バックラー”の称号を

得たがそれはそれということで♨

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