死のデータ
ー 私立ポルタメント女学園 8月 スス・アオイ・ニャラケルの部屋 ー
「ダメですね、どうしても完成しません。
もはやお手上げといっていい」
ススは万歳して事実上降参した。
髪の毛から作る本人のコピーではなく0からの人体錬成。
ススの先生を作れずにいた。
「にゃひひひひひ、ここで保健室の先生と僕の共同制作。
”遺伝子培養マシーン”!!!
過去の先生と保健室の先生がそっくりならこの髪の毛を使うといいですよ?」
「遺伝子培養マシン?」
「文字通り髪の毛を増やして実験の道具にできるんです。
つまりマスターデータさえあれば人体錬成マシンと合わせて
アオイママを増殖させ放題!!
膝枕も思いのまま!!!」
「ねえニャラケル、スス。こんな機械、破壊してやる」
「アオイ、口調が壊れてますよ」引き気味
なんだかんだアオイはススとニャラケルが自分を頼ってくれることが
嬉しいのだ。故に自分のコピーはその楽しみを奪う障害物でしかない。
「冗談です。アオイの膝枕の為に学園運営を頑張っていますから。
にゃひひひひ」
「まったく、提示された条件が運営利益の半分とアオイの膝枕とは。
あんな端金なら全額渡しますから膝枕の権利を無くしなさいな」
「何度も言っているでしょう。アオイママの膝枕は労働者の権利ですよ?」
「ワタクシの膝枕はともかくとしてススの方は順調じゃないですね」
事実突破口が見えない。先生の髪の毛で人体錬成しても55パーセント。
半ば詰みかけている。
「例えば入力データが間違ってるとか?
髪の毛には人の
それをゼロから作るのなら人格も作らなければいけません。
ススの先生の思い出は何年分ですか?」
「1年ちょっとですね」
「人間が80年生きたとしてススのデータはごく僅かしかありません。
つまり赤ん坊のころから墓場までの人生データが足りないんです」
「おお!!!流石アオイ!!!」
「やはり天才ですね」
「ススのデータは成人のはず。つまり生のデータ。
足りないのは死のデータ。
ススは彼女がどんな死に方をしたか知らないのでしょう?」
「さらっと凄い事言ってませんか!!!」
「ススパパよりも才能が溢れています」
アオイの倫理観も2人に当てられてタガが外れつつある。
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