パパ活よりも邪悪な錬金術


 ー 私立ポルタメント女学院 アオイ・ススの部屋 ー


 (やはり何かに追われていますね、スス。

 悩みを聞くべきなのでしょうか?)



 ススが悪夢を見て鏡を叩き割った音でアオイが目覚めた。

 伯爵と呼ばれているススは錬金術の学園も経営しながら

 ポルタメント女学院で学生もしている。


 進路が決まり受験や就職といった学生最大の分岐点をパスできたとしても

 恋愛や交友関係で頭を悩ませる学生は多い。


 むしろ進路が決まっているからこそ、

 嫉妬からイジメだったり厄介事に巻き込まれることだってある。


 ススは独りでため込んでアオイには話さない。

 それがススの強さであり他人を頼れない弱さでもある。



 アオイ (ワタクシがなんとかしなければなりませんね)



 ススの限界を感じ取ったアオイは行動に出る。



 

 ☆☆☆




 ー 翌日 ー


 「スス、申し訳ないですけど夜間バイトしたいのですが」


 「???

 お金が欲しいのですか?それなら私が工面しましょう。

 なぁに友達料ってやつですよ。きひひひひ」



 アオイ (何言ってるのでしょう、この人は)


 

 「友達料って・・・・。あなたまさか!!!今までご友人が!!!」


 「ごばああああああああああ」吐血っ!!!



 本心を抉られて吐血するススと、ああやはり・・・。と落胆するアオイ。

 かつてススにも友達は居た。だがリーダー格に媚を売るため

 イジメをした結果疎遠となってしまった。



 「と・に・か・く!そんな物は結構です!!!

 合鍵を貰いに行きますので少し時間を空けますね」


 「え、え、え、え、え、え、え、え、ええ、どうぞ

 ご自由にしてくださいまし」ガクガク


 「動揺しすぎですよ、スス」ドン引き




 ☆☆☆



 ー ススの心理描写 ー



 えあああああああああああああああああああああ!!!!

 アオイが!!!!アオイが!!!!!!!!

 あああああああああああああああ!!!!!!!!!


 ハァハァ。いけませんね。落ち着くのです、スス。

 こんな時は元素記号を!!!!!

 ストロンチウムまでしか言えねええええええええええええええ!!!


 おおおおおおお落ち着くのです!!!

 こんな時は頭を柱に打ち付けて!!!!!!

 ガンガン!!!ああなんか意識が薄れてきましたね。

 この赤いの何でしょう?ああ娘が呼んでいる気がします。

 それと先生!!!!!

 身体から魂が抜けて徐々に宇宙そらへ登っていきます。


 始めて見ました、あの奇麗な川は何?

 空には天の川が見えて幻想的ですね。

 ここを越えたらすべてが楽になりそうで。

 ああ船に乗って向こう岸まで行くツアーをしているのですね。


 ゑ?かね取るの!!!!!

 いいもん!!泳ぐもん!!!!!

 錬金術師なめんなし!!!


 こんなの浮き輪があれば常勝不敗!!!!!!

 魔法で作ってエンジン乗せていざ鎌倉!!!!


 うえぃうえぃうえぃ!!!!!

 ぎゅるるるるるる!


 ん?まっ!前から船が!!!



 ☆☆☆




 冷静に考えるとあそこは三途の川でしょうね。

 三途の川で事故って現世に戻ったのは私が初めてでしょうか?

 こうマイナスにマイナスを掛け算するとプラスになるように

 死者が死ぬと現世に舞い戻る計算式が成立したり?


 しかし何故急にアオイがバイトを?


 学生が欲しいものなんて週1のカラオケ代と最低限の身だしなみ用品、

 帰り道のコンビニでホットスナックを買って電車を待つぐらいです。


 無論ブランド物のバッグや高級化粧品ともなれば話は別ですが。


 まさか彼氏!!!!!!!!!


 あばばばばばば!アオイが女にされてしまう!!!!!!!!

 いやいやいや!待て待て待て!!!!!

 学生時代の付き合いなんて非効率です!!!!

 だって男の進路や就職先が分かんないんですよ!!!!

 いやテキトーに振ればいいだけですがっ!!!!


 ここでふと冷静になる。


 様々な巡り合わせで私は転生し今では学生。

 ならば!!!!!


 円〇に違いない!!!!!!!!!!!!!!



 だってアオイはさ、妖怪みたいな胸じゃん!!!!!

 私よりデカいのはみんな妖怪!!!!!!!

 パッド使ってCカップしかありませんよ!!!!私!!!!


「ちょっと私と遊んでかない?

 あっ、こっちのぬりかべは置いといてさ」


「だああああれがぬりかべだああああああああああああああああ」


 みたいな話があるかもしれない!

 なにこの展開!!

 もしこれが百合物だったら怒られるぞ!

 あのスター〇ンみたいに!!!




「ちーっす☆アオイ改め葵っちは夜のお店で働くからwww

 男と遊んでるほうがマジたのすぃーし」タバコすぱー


「あああああああああああああああああああああ」


 みたいな!!!!!!!

 金髪でオタクに優しいギャルもサンタも実在しない!!!!!ドン!!

 もうヤダ!!!!こんな世界嫌い!!!!!

 こんちくしょうめ!!!!

 ボールペンを叩きつけましたよ!!!



 「ススー入りますよ?」



 アオイの声がする。はっ!!!もしかして夢でしたか。

 最近悪夢しか見てませんでしたから。


 「はいどうぞー」



 アオイは白い大きな物を持ってきて現れた。



 「これ購買で前借りして買ってきた柔らかそうな枕。

 最近スス疲れてますよね?

 学生と学園運営の二足のわらじをしていますもの」


 「きひひひひ心配ご無用です。

 なにちょっと頭の体操をすればストレスなんて退治できますよ」


 「おもいっきり血が出てますけれど!!!!!」




 ああ、そういえば頭打ち付けてましたね。



 「とにかく安静にして!ええと包帯、包帯」あせあせ


 「やめてください!!!アオイが動いたらすぐ汚部屋に逆戻りです!

 こんなの治癒魔法で何とかできますから!!」


 「人望ないのですね、ワタクシって。グスン」


 「掃除が面倒なだけですから」



 なんだかんだアオイに心配をかけるわけにはいかない。

 彼女は私の友人なのだから。



 「それよりワタクシからのプレゼントです。

 まあお金は後払いですけれど」


 「ホントに?円〇じゃない?夜のお店に行ってない?」


 「大変失礼なこと言いますねぇ。伯爵さん!!!」


 「うわああああ目が怖い!!!!!!」



 いや声色がドスが効いてるんですよ。



 「ん?後払いってどうゆう事?」


 「ああそれでしたら購買のお姉さんがカードを作ってくれたんです。

 月々一定いっていの額を払えば限度額まで使用できる

 夢のような仕様の物を」


 「それリボ払いじゃああああああああああああああああああああああ」



 その日私は思い出した!

 この学園の治安の悪さを!!

 純粋培養されたアオイのうかつさを!!!!


 早速購買にカチコミを仕掛け現金一括払いに変更させた。

 リボ払いは大人がする物であって、

 学生は借金するまでもない。

 バイトして身の丈に合った生活を送ればいいんです!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る