人体錬成編 伯爵の学園生活
伯爵
学生スス「私も万能ではありません。
ですが前世の記憶をもとにやり直しが効いたのならば?
・・・・・平凡な人生なんてクソ食らえってんですよ!!!!」
☆☆☆
ー 私立ポルタメント女学園 人体錬成編 ー
世の中は結果が全てだ。
そして結果を出す人間は生まれた瞬間、”運命”によって決定される。
幸いワタクシの家庭は裕福で不自由はなかった。
中にはその日暮らしで盗みを働く者もいるようですが
それは運命が味方をしなかっただけ。
貧すれば鈍ずるとはよく言ったものだ。
ワタクシが権力者になったならばまず、不幸の再生産を減らすために
出産を年収制限で縛るのに。
可哀そうな運命ならば初めから誕生しなければいい。
貧乏な親から生まれる貧乏子供でしたらワタクシは切腹していたでしょうね。
☆☆☆
ワタクシも学年が2年となり、いよいよ”学生会”の選挙が近づいた。
これも運命、いやただの通過点、箔を付けるための手段。
いずれ両親の会社を継ぐことになるから。
ライバルなんていない。
前年度は”会計長”を担当しているため”旧学生会”メンバーの弱みを
握っているからだ。
いわゆる裏工作。良くも悪くも学生会特権で運営資金を横領する
方々がいて助かりました。
彼らの行動をうやむやにする代わりに学生長への立候補を差し止めた。
もはや勝利は確定したも同じ。
ワタクシを除いた旧学生会メンバーは
今年に誰が新メンバーになるかの賭博をしていた。
それほどまでに腐敗していたが関係のない事。
ワタクシの任期さえ持ってくれれば後は勝手にすればいい。
☆☆☆
1週間後に選挙の結果が発表され当然ワタクシが学生長。
組織の空気を入れ替えるということで”書記長”と”会計長”の計2枠は
新人が立候補するのが通例。
書記長は問題ない。だが会計長が厄介だ。
なんでも錬金術とかいう新しい学問を作り
学生の身でありながら別学園の経営をしているとか。
・・・・自分の楽園がありながら何故他校に通っているのか理解できない。
明日の学生会前に会計長の弱みを握らなけば!!!
☆☆☆
彼女の名前はニコラス・スラー、自称スス伯爵。
伯爵の地位がどこから来たか不明。
前年は保健委員の
そこから何故学生会に入ろうとしたのか、その下調べの為ワタクシ自ら
保健室に向かった。
結論から言えば伯爵は学園に来ていない。
いや、正確には忌引き、身内の不幸だ。
ちょうど健康診断や委員会の集会、テスト以外は全て休んでいる。
よほど親戚が多いのかと思ったがどうやら同一人物の祖父が毎日のように
お亡くなりになっているとのこと。
もっとマシな嘘をつくべきだとは思いますが、
医者の診断書付きで本人に間違いないらしい。
それ以外のデータは身長155サンチ、赤毛、学力は優秀といった程度。
弱み以前にどんな人物かも分かっていない。
☆☆☆
ー 学生会室 ー
翌日となり新学生会が立ち上がった。
どうやら伯爵も今日は登校していたようだ。
渡された昨年の資料にひと通り目を通すと伯爵が突っかかってきた。
「かなり頑張っていますが偽造されてますね、この表。きひひひ」
前メンバーの偽装の為ワタクシが数字をこねくり回したが、
数瞬で理解できましたか。この伯爵
少し脅しと警告を挟みましょうか。
「あら計算ミスでしたか、
それともワタクシたちが”意図的”に間違いを犯したと言いたいのですか?」
「いえ、予算が通った以上この計算式は有効。
あるいは教師陣も”意図的”に予算を通したか。きひひひひ
安心して下さい。これはただ私の実力を試すための試験だと思っていますので、
外部に公言しないことは約束いたしますよ?帆帝学生長」ニィ
席を立ち歩きながらワタクシの前に立ち顔を近づける伯爵。
このやり取りだけでも3年の選挙において勝ち目はない。
・・・彼女の顔から眼を背けた。しまった!!!
イメージとしては蛇に
現段階より舐められてもしょうがないと思ったが、彼女は更に顔を近づける。
「制服に髪の毛ついてましたよ?
”来年”も同じ役職で活躍してもらうためには身だしなみも気をつけないと」
「え、ええ。感謝致します」
髪の毛が気になっていたからまじまじと見つめていた?
ワタクシの抜け毛を取り、チャック付きの袋に入れた伯爵。
・・・藁人形でも使うのでしょうか?
オカルトではワタクシを滅ぼせませんよ?
そんな事より心の中でガッツポーズをした。
”来年”ということはこの女に出世欲はない。
「申し遅れましたね。私はスス。巷では伯爵とも呼ばれていますが」
「ニコラス・スラーでなくて?」
「あいにく偽名ですから。
本名を晒すのは愚の骨頂ということにしてください」
「分かりました、伯爵。
今まで保健委員でしたのに選挙に出た理由は何故です?」
「ああ、それならあなたの両親に頼まれたんですよ。
これがその証拠。富裕層の書類及び印鑑の偽装は学生の身分でも捕まる所業。
魔法を使いご両親に手紙を送り確認をすることを勧めますよ?」
差し出された手紙に驚愕する。
確かにワタクシの両親の印に間違いない。
だが伯爵と両親に繋がりがあるなんて思いもよらなかった。
いや学生寮に入る2年前に知らなかったということは
その期間に取り入ったと?
だとしたらこの女は危険すぎる。
「目つきが鋭くなりましたね。敵対する気はありません。
何故なら学園長と寮長のサインもこちらに。
明日から、いえ今日から同じ部屋で過ごすのですから。
っと、私用で時間を潰してしまいましたね、すいません。
さあ学生長、議題の続きを」
「色々質問したいですが今は雑務が先。
それでは・・・・」
ワタクシの学園生活は順風満帆であったが本日を境に音を立てて崩れていく、
その
だが敵が目の前にいるならば話は別だ。
弱みを握り必ず屈服させてやる。
今までもこれからも、敵への対処はこれに限る。
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