3月
長保二年三月 とある高貴なお方の話
濡れ羽色の御髪は美しく柔らかで、かんばせは
そんな可愛らしいお方も今や立派に成長なされた。しかし、少しばかり茶目っ気が過ぎるご様子で、正直に言うと私は手を焼いていた。今日も好奇心を宿らせた黄金色の眼を満月のように丸め、
「そろそろお戻りになりませんか。お風邪を召されてしまいますよ」
聞いているのかいないのか、尾だけをゆらゆらと揺らし
命婦の御許:一条天皇の愛猫。
翁丸:犬。
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