第4話 私の婚約者

 昨夜は寝付けなくて何度も寝返りをうち、大きな窓の外を眺めたりテラスに出たりしていた。


 聖女の防御壁シールドに至っては勉強済で、眠れないことを理由にそれを試してみたのだ、すると。


 テラスの床に両膝を着き、胸の前で両手を組み祈った。


(私の中に眠る力よ、この国に【防御壁シールド】で守りたまえ!)


 光が空へと飛んでいき、この国を透明の防御壁シールドが包み込んだ。


「良かったぁ、防御壁シールドが成功した」


 護衛の騎士はそれを見ていたようだ。


 私に敬意のポーズをし、深々と礼をされ、私も礼をしてから部屋へと戻りベッドへ入った。


 ドキドキした鼓動を感じてる間に寝落ちしていたのか、エフィナに起こされ洗顔をし、今日も同じ日常のルーティンだ。


 私はドキドキと高鳴る鼓動を抑え、夕食後のお茶の席でクロード公爵様に「大切なお話があります」と顔を赤らめて一言告げると……。


「ここでは言いにくいだろうから、場所を移動しようか?」


 王宮のサロンには貴族の方々がチラホラおり、こちらを見ている方もいた。


 このような場所でクロード公爵様に告白の返事をすれば瞬くの間に噂になるだろう。よく考えると……2人きりの場所でも噂になるのは目に見えてる。


 戸窓を開けテラスに出たクロード公爵様は私に手を差し出し「お手をどうぞ」と一言。


(紳士だわぁ)


「ありがとうございます。


 えっと、クロード公爵様……私は貴方に惹かれています。


 結婚のお話を受けさせて下さい!!」


 自分でも驚いた、こんなことを言えるなんて初めてだ。


 今まで生きてきた中で凄く緊張したのではないだろうか。


 クロード公爵様のお顔を見ると……耳まで真っ赤だ。


「ありがとうございます。


 俺は一生ナナエ様を幸せにすると誓います。


 もう一度言わせてくれ。


 俺と結婚して下さい!」


「はい!


 ふつつかものですが、どうぞ宜しくお願い致します」


 私の左手を取り、薬指にキスを落とした。


 ドキドキする鼓動が聞こえ、熱が顔に上り私の顔は林檎のように真っ赤だ。クロード公爵様も真っ赤になり、私達は【婚約者】となった。


 クロード公爵様は善は急げなのか、陛下の公務室へノック無しで入り、問答無用で婚約契約書に名を刻み、私も覚えたての字で名前を書いた。


「陛下、受理をお願いします!!」


 陛下はニヤニヤとした顔をし「良かったな、2人ともおめでとう!」とお祝いの言葉を頂いた。


 クロード公爵様と目が合い「クスリ」と笑った。

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