第7話
さて、早いもので、俺も一人だけでハク宅への移動が可能になった。
自主的に毎日ハクの家に遊びに行き、剣術もどき遊びをしている。
脳内にいるパルエラは意外と静かだった。
なにより、俺はハクと共に日々成長をしていた。
◇ ◆ ◇
HP:30/30
筋力:14×1.1
魔力:34×1.1
敏捷:15×1.3
忍耐:40×1.2
知力:30
幸運:100
【護身術見習い】敏捷が1.3倍になる。
◇ ◆ ◇
やり過ぎたとは自分でも思っている。
基礎値が上がり、それに加えて良く分からない称号まで手に入れてしまった。
そして、すこし申し訳ないような、誇らしい様な気分なもので、ハクの方も随分と強くなってしまった。
そんなハクのステータスがこれだ。
◇ ◆ ◇
HP:30/30
筋力:20×1.5
魔力:3
敏捷:36
忍耐:23
知力:1
幸運:10
【下級剣士】筋力が1.5倍になる。
◇ ◆ ◇
物理特化のパワーアタッカーになってしまった。
しかも、俺よりも早くに【剣士見習い】を辞めてしまった。
少し悔しい。
一つの事で負けるのも、嫌だなと思ってしまった。
「ノァ!今日は森に行こう!」
以前に比べて随分と滑舌の良くなったハクに誘われ、現在俺は近隣の森に来ている。
ここらの田舎では特に珍しくも無い森ではあるが、子供にとってそれは大冒険なのだ。
が、ここはファンタジーの様なゲームの様な世界。
当然の如くモンスターはいるし、ただの木の棒だけで生きて帰れるほど楽な場所ではない。
本で読んだ程度だが、ゴブリンやオーク、オーガに妖精と、危険な存在がうようよしているそうだ。
だが、そんなことも、意外と楽しんでいるのが俺やハクビである。
「こいやー!」
「......」
手持ちの木の棒以外にも、そこら辺で拾った、振り回せて簡単に投げられる程度の重さの石を集めておく。
体力を使うつもりは無いので、それらは俺の周囲に浮かせておいた。
『ノアちゃん。前方にゴブリンがいるわ。』
「ハクビ、ゴブリンがいるらしい。」
「うおおお!やっつけてやるー!」
ハクは勇ましい掛け声とともに突進して行き、ゴブリンを見つけると同時に殴り掛かっていた。
しかし、そこは雑魚キャラの王。それを真っ向から弾き、ハクに反撃を喰らわせようと、手持ちの棍棒を大きく振り上げた。
「『サイコキネシス』!」
浮かせている石を一個投げ当て、気がそれた瞬間に、全力闘魂スイングでゴブリンの右目に石を当てた。
「GYA!?」
怯んだ隙に口の中に石を詰め、口が閉じれなくなった辺りで、棒を使い喉、鳩尾、股間に三連突きを決める。
それだけで、呼吸はできないゲロは吐く悶絶するの三拍子が揃い、ゴブリンは呆気無く死亡した。
「うわー、汚ーい。」
「助けたんだから文句言うなよ。」
「ゴブリンが」
「......そうか。」
俺はゴブリンの持っていた棍棒を拾い、また別の石を集め、一緒に浮かせた。
意外にも俺は魔力の回復が早いらしい。
パルエラが言っていた『隠しステータス』なるものの存在を信じれば、確かにそうなのだと言う。
そのため、魔力の上限は際限無く上がり続け、魔力効率の悪い【無】属性の魔法でも自由に使えるのではないかと、胸を躍らせた。
「そういえば」
「なに?」
「この先には精霊を祭った遺跡があるって、本に書いてた。」
「ノァがいつも持ってる変な本?」
「そうそう」
「じゃあ行ってみたーい!」
乗り気なハクの前に立ち、俺は記憶している遺跡の場所を、『パルエラナビ』付きで探す事にした。
備考になるが、以前出来る事の打ち合わせをした時に、幾つかの注意事項と共に、可能な事や、ギリギリのラインを教えてもらった。
曰く、どの精霊と契約するのが今後有利で、オススメはどれかを教えることは出来ないし、どこに精霊の遺跡があるのかを教えることも出来ない。
しかし、そこを指して『ここは精霊の遺跡か?』と聞いたのなら、応える事はできるらしい。
その要領なら、手当たり次第に地図を見て、手当たり次第に『ここは?ここは?』と言えばいいのかも知れないが、それはしなかった。
それでは、チートを使っているのと変りは無く、いわゆる、攻略サイトにアクセスしている様なものだったからだ。
そして、今回の件に関しては、パルエラが勝手に『ここに精霊の遺跡があるかも』と言ってきたから、見学に行こうとしているだけで、これは不正に当たらないらしい。
神々のルールというのも、意味不明だ。
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