第89話 天使⑫

俺が指揮権を持たないことがわかるとカルタイはすぐに騎士団との話し合いを始めた。騎士団としては今回の件で功績をあげれば昇進の可能性もあるし協力的なようだ。カルタイやルーナもクーラを殺すことについてはなんも疑問を持っていないらしく話し合いはとんとん拍子に決まっていく。


ただ会議中にもクーラの反乱は止まらない。事前に対策をしていて人数有利も持っているとはいえクーラの軍勢の天使は強力だ。すでに町に敷かれている第1防衛ラインを超えられている。しかしどうやらこっちの作戦としては敵が深く入り込んできたところで退路を塞いでそのまま包囲殲滅する作戦のようだから作戦通りと言っても過言ではない。


それにとられてはいけない要所要所は完全に抑えているようだし順調だろう。このままのペースで行けば今日中にでも戦闘は終了するかもしれない。


会議は終了しそれぞれが持ち場に戻っていったころ戦況は完全に沈黙。第2防衛ラインの手前で反乱軍の侵攻は完全に停止した。


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さっきまで順調に進行していったはずだったのに何でこうなっているのよ!


「クーラ様、すでに全方向で侵攻は完全に止められました。ただ何か所か隙が見られる場所があるためそこをついていこうと思います」


「わかったわ。カルタイと騎士団が対応できない間に置く深くまで侵攻するのよ」


「了解です」


クーラがその命令を出すと少しづつだが前線が上がっていく。


「後方で待機している部隊も出して完全に突破しないさい!」


「了解です」


ここで後方を守るために配置していた部隊をすべて前線に配置転換する。おそらく防衛側はもう後手後手に回っているはず。各所で勝利報告が来ているしもう後方に憂いはない。ここが勝負どころだ。


後方の部隊を前線に配置して防衛ラインに攻撃を始めたころ本部に伝令が焦った様子で現れた。


「後方に部隊が展開されています!率いているのはセラフ!」


「なっ!」


セラフがいるはずはない。だってあいつは今エーメで領主の説得をしているはずだ。だとしたらこれはセラフに見せかけたはったりだろう。その手には乗らない。


「そのセラフははったりのはずよ。本部の防衛部隊を回して迎撃しなさい」


「しかし…」


「早くしなさい!グダグダしているとここに到達するわよ!」


「了解しました」


ということで後方に本部の防衛部隊を回して迎撃する。これでこの本部にはもう戦力がいなくなったわけだけどたぶん大丈夫。これは敵の最後の攻撃のはずだから。



あとがき


皆さんこんばんは!クララです!この度PYが5000を超えました。ここまで読んでくださった読者の皆さん本当にありがとうございます。

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