第181話 帰り道での談義

「二人はさ、将来就きたい仕事とかやりたいことってある?」

『……は?』

 今日は赤羽と英二の三人帰っているときに僕はある質問を投げかける。その質問に二人の声は重なる。

「すごい唐突だな……」

「いや、つい最近それについて深く考える事があってさ……それで、どうなの?」

「俺は……まぁ、スポーツにかかわるような仕事だったらいいなとは思ってる」

「そっか。それで赤羽は?」

「うーん……まぁ将来についてはボチボチ考えてはいるけど、正直言ってこれといって決まってないっていうのが現状だな~」

「そっか。僕と似たような感じか……」

 やっぱり英二みたいに既に就きたい仕事とかも考えている人は、まだ少ないみたいだ。それこそ赤羽の事を見て内心ほっとした。


「にしたってそんなに焦る事かね? 進路の事ならまだ分からなくもないけどさ……」

「まぁそう言われればそうなんだけど、身近にそういう人がいると『自分も見つけなきゃ』みたいな謎の使命感に駆られる時があるんだよ」

「そういうものなの? 良く分からないけど」

「けどやりたい事なんて大学出た後でも、それこそ就職した後でも挑戦できるんじゃないか?」

「うん。まぁ、それはそうなんだけど……」

「……なんか歯切れが悪いような言い方だな」

 英二に言われた通り僕自身、その辺については少し不安感……というか焦燥感にかられているような気がする。

「まぁ……ね。そりゃちゃんといいところに就職してそのまま働き続ける人生っていうのもいいとは思うよ。けど……」

 ただそれだけの人生も悪くないとも思える。とはいえ、趣味ややりたい事を見つけてそれのためにあれこれ頑張る人を見ていると、自分もそういった『何か』がほしいと思えるのはよくある考えじゃないだろうか……


「……一つ思ったんだけどさ、そういうのって趣味からできたりしない? やりたいこととかさ」

「趣味から…それもそっか。」

 そこに関しては完全に頭から離れていて考えたこともなかった。

「それでもって聞くけど、隼人は趣味あるの? 俺はきいたことないけど」

「もちろん、あるよ! 読書とゲーム!」

「お、おう……まさにThe趣味って感じだな……」

「う、うるさいな……別に良いでしょ?」

「読書か……小説を書くってのは?」

「小説……読むことはしても書いたことは無かったかも……」

「なら書いてみたら? 意外と自分に合っていたりしてね……」

「うん……そうしてみるよ。ありがとう」

 そんなこんなで僕にも趣味から繋がるやりたいこと? が無事見つかった。

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