第12話 図書室に呼び出し

試験が終わった数日後、詠子から図書室に呼び出された。なんだろう?


「ごめんね。突然呼び出して」


図書室のドアを開けると、本を読んでいた詠子が音に反応して振り返った。


「いや、いいけど、どうしたの?」


「うん、あの、あの」


なんだろう? やっぱ今の俺いろいろ変だもんな。この世界ではだけど。なにか疑惑をもたれたのかな。


「あの、あのね。別に私そういうの気にしないし、違ったらごめんなんだけど」


ああ、やっぱり俺が転生者だって気づいてたんだなって思って告白しようとしたら詠子が言葉を続けた。


「あ、あのさ、栞ちゃんってその、女の子だけど男の子っていうか、なんていうのかそういうの、体と心の性にギャップあるタイプ?」


はっ? そうか、どうしても今女って自覚が薄いから、言葉遣いもしぐさも男っぽくなってた。


「女の子より梨偉人くんといることが多いし、男子といるほうが楽しそうだし」


「いや、えーと、なんていうか、自分でもよくわかんないっていうか」


なんせ、今は自分が誰なのか分からなくなってる。


「そ、そうなんだ。じゃあ、梨偉人くんのことはどう思ってるのかな?」


うん? あっ、こいつ梨偉人のことが好きなのか。だから確かめたかったのか。なんか、赤くなつて可愛いな。


「どうって友だちだけど」


っていうか、楽に本を早く読める方法知りたくて近づいてるんだけどな。


「そ、そっか。そうなんだ。ごめんね。変なこと聞いて。悩みがあったらいつでも相談してね。力になるから」


なんて話してたら梨偉人が入ってきた。なんだこの状況。気まずい。


「あ、じゃあ、教室戻るわ」


一応気を利かせたつもりだ。


が、ドアのところで梨偉人とすれ違う時に妙なことを思い出した。

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