うちのモフ、猫二匹。
竹神チエ
第1話 子猫でもなく、メス二匹でもなかった。
猫を二匹飼っている。
モフ
実際はもうちょっと趣向を凝らした名前だが、ここではモフ男とモフ美ということで話を進める。三月二十五日に我が家にやってきたので、そろそろ飼い始めて丸四年になろうとしている。
腎臓病を患っていた先代猫がお空に旅立ち、残った療法食やサプリなどを保護猫活動をしている方に使ってもらおうと渡しに行ったことがきっかけで、二匹を飼うようになった。「次の猫、どう?」てなノリで写真を見せられ、その気になったのだ。
そこに映っていたのは光の加減で三毛猫に見えた今のモフ美である。エレガントな雰囲気漂う野良猫らしからぬ長い毛が魅力的だった。
聞いた話では、その保護活動している方の知り合いの猫飼いの人に庭先に、まずモフ美(当時まだおチビな子猫)が餌を求めてやって来たらしい。その後、べつの猫も引き連れて二匹で訪問してくるようになったとか。後からの一匹がのちのモフ男だ。
なので、たぶんこの二匹はきょうだいだろうということだった。そして、その家の近所に猫嫌いのおじさんがいて猫を虐めるとのことで、保護かつ二匹一緒に飼える人を探しているのだという。
訪問宅の家はすでに二匹だったか三匹だったかで猫がいるため、これ以上は飼えない……でも可愛いので飼ってみようか、みたいな揺れる心の時期だったらしい。懐いてきていて、モフ美のほうはひざに乗るまでになったとか。なのでどうなるかわからないが、念のため、うちにも声をかけてみたらしかった。
わたしは長毛種の猫に憧れがあった。
中学時代の放課後、美術室にあった(わたしは美術部だった)猫図鑑を開き、「どの猫が好きか?」との友からの質問へ長毛種の猫を指差す程度に。
画像の猫は長毛種というほどじゃないかもしれないが、短毛ではなかった。ふさふさモフモフしている。このチャンス、逃したくない。
ペットロス気味でもあったけれど、早くも次なる猫への思いを募らせてから数日。本当に飼うか?の念押しの電話があり、「飼う」と返答。じゃあ捕獲機を仕掛けて捕まえるのでしばし待たれよ、であっさり保護に成功した。
そうして二匹がうちに来たのは、ちょうど先代猫が亡くなって一月後のことだった。聞いていた話では「メスの子猫二匹」との話だったが、実際にやって来たのは、ほぼ完全体のオスと少々小柄なメスであった。
まず引き取りに行ったとき、のちのモフ美のほうはまあまあ小さくは見えた。それでも「子猫??」とは心の中で思っていたけれど。わたしの中で子猫と聞けば、二、三か月頃のミイミイ鳴くようなサイズをイメージしていたので。
でも次にキャリーバッグの奥にしがみついていたのを引っ張り出された「おんびんでね」の説明付きの猫は、思わず「お」と声が出るほど大きかった。
保護した人もそう思ってたのか、「ちょっとこの子は大きいの」と付け加えていた。そのときも「タマはなかった」とのことで「メスです」とおっしゃった。けれども家に戻り、室内に放して眺めているとなんとなくオスっぽいのである。
先代猫はオスだった。今回はメス、メス。しかしどーにも、オス疑惑が浮上する。
翌日だったかもう数日あとだったか。大きい猫のほうが近づいて来るようになったので抱っこしてみる。そして触ってみる。……タマがあるような気がする。母にも確かめさせたが、「ある気がする」で一致した。
「あんたオスじゃん」
それでも「メスなの?」と思いながら体格もいいし、早めに去勢しようと病院に連れて行った。我が家では「もしかしてオス?」と疑問視は続いていた。しかしまあ結果はオスだった。獣医さんがいったもの。「ここにタマありますから、オスですね!」と。
そうして生後半年は絶対に経過しているであろう猫たちは、獣医さん曰く「あともうちょっと大きくなるかなあ」というサイズ感で手術も成功し、いよいよ我が家の猫さんになった。
(つづく)
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