君へ届いてほしい音

陽菜乃

プロローグ

3月24日、ピンクと紫の朝焼けが空に浮かぶ頃、私は16年の人生に幕を閉じた。

安らかな最期だった。

苦しむこともなく、大好きな人達に囲まれて死ぬことができた。

私が死ぬとき、みんなが泣いていてくれた。

私の16年間はみんなに影響を与えられた人生であっただろうか。


今、私の周りにあるのは真っ白な世界。

ここはみんながいる世界とは違う。

でも、みんなの声が聞こえてくる。一番大きく聞こえてくるのは一番私を愛してくれている人の音だ。

最期に私のために奏でてくれているんだ。この音だけはどんなに私が衰退しようとあなたの音だとわかる。

この音が心地良い。大好きな音だ。世界で一番愛のこもった音だ。


君はいつか言っていたよね。

私達は最期の時まで人のために奏でるのだと。

ねえ、奏汰。

私は最期まで君のために奏でられたかな。

一生懸命に生きられたかな。

君とともに過ごしたたった1年を。




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