えっ?
疑問を感じながら王太子妃教育を頑張ったり、アデライド様ともそれなりに交流しながらアカデミーに入学する年になった。
前の世界では学園といい、今の世界ではアカデミーという。在籍する時間も少し違う。
同じ世界を巻き戻っているのでは無いらしいので違うところがあってもおかしくはないのだが、やはり戸惑う時もある。
アカデミーではセレスとナディアが同じ1年生、アデライド様は3年生。ウィル様とジェフリー様が6年生だ。
ヒューイ様はもう卒業し、我が国とヨーセット王国を行ったり来たりしている。
相変わらずウィル様の復讐は凄まじい。前の世界でのグリーデン公爵のように力を持っているようだ。
国王が原因不明の病で倒れた。グリーデン公爵と同じ症状なので同じ病といわれている。
ウィル様は国王にも盛っていたのか?
今ではもう側妃派など存在しない。グリーデン公爵家も王妃とウィルにひれ伏しているようだ。
ウィル様も17歳。今国王が亡くなればすぐにでも王位を継ぐことは可能だろう。
グリーデン公爵はすでに寝たきり状態。側妃も壊れている。
もう復讐もこの辺でいいのではないかと思っている。
ウィル様の一人勝ちだろう。
グリーデン公爵は表舞台から去り、側妃も終わった人だ。
アデライド様は父親の国王も病だし、母親の側妃も病んでいる。祖父も風前の灯火だ。
前の世界のようにはいかない。
アデライド様は自分もあの2人のようになるのではないかと恐れているようだ。
今日はふたりでのお茶会。アカデミーに入学したお祝いをふたりでしましょうとアデライド様に誘われた。
離宮の中庭にあるガゼボにアフタヌーンティーのセットが置かれている。
いつもと同じだ。
「ベル、今日のスイーツはヨーセット王国で人気のある店のマドレーヌよ。ヒューイ様が届けてくれたの。お茶会にもあとから参加するわ」
「ヒューイ様ですか?」
アデライド様とヒューイ様?
ふたりはそんなに接点はなかったと思うけど。、まぁ王族同士だし、私が知らない間に仲良くなったのかな?
しばらくするとヒューイ様がきた。
「ベルティーユ嬢、お久しぶりです。我が国で評判の菓子はいかがですか?」
「美味しいですわ」
ヒューイ様は別に普通だな。特におかしな感じはない。
「ベル、私ヒューイ様と結婚して、この国の女王になることにしたの」
「アデライド様、お戯を」
「本当よ。ね、ヒューイ様?」
アデライド様はヒューイ様の腕に絡みついている。
「えぇ、なので邪魔なウィルヘルム殿とあなたには消えてもらいます」
あれ? 何?
この感じ?
まさか? また盛られたの?
「ヒュ……」
言葉にならない。
「ベル、あなたに恨みがあるわけじゃ無いのよ。でもね、あの人を失脚させるためにはあなたに犠牲になってもらうしかないのよ。悪く思わないでね」
遠くでそんな声が聞こえた気がした。
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