第2話 ボロアパートからの再出発

 三男出産間近となったある日、嫁姑問題で夫と喧嘩となった。夫は私の味方ではなく親の味方、この先夫と一緒に人生を共にするのは無理だと思い離婚を決意した。三男を出産する為里帰りしていたこともあり両親からは離婚を反対されていた。30年ほど前は今ほど離婚することが普通ではない時代だったから仕方なかった。出産時、もちろん夫は立ち会わないどころか来ることもなかった。病院から退院したある日離婚の話し合いのため夫が私の実家に訪れたのが子供達が父親にあった最後となる。その後一度も子供達に会うことも連絡もなかった。そんな夫は今や再婚をして家庭を築いている。


 結婚よりも離婚の方が大変だとよく言われるけど本当だった。どうやって離婚すればいいのかわからなかった。親権問題があるから家庭裁判所に相談してみればと親戚のおばさんから教わった。


『家庭裁判所‼』敷居が高かったが離婚すると決めたのは私、やるしかなかった。30年ほど前は公的機関の人たちの対応は今ほど親切ではなく、心傷つくことも多々あったが子供たちの親権を得るためには歯を食いしばって戦うしかなかった。調停を経て裁判となり子供たちの親権を獲得するまで数か月という時間がかかった。


 両親は離婚に反対していたため実家を出てボロアパートを借り4人で生活を開始することにした。子供たちを保育園に預け私も仕事を始めた。専門卒の私は高額な給料を得る事はできず本当に貧しい生活であった。家庭裁判所に申請をし仕事を始めたころの私は心身ともに疲労していた。貧乏・片親というだけで子供達は今後嫌な思いをするだろうなぁ〜。あーどうしよう。毎日不安で押し潰されそうだった。ただ生きているだけで将来のことなど何も考えられなかった。

(当時:長男4歳・次男2歳・三男0歳2ヶ月)


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