駐禁

あべせい

駐禁



「ハナちゃん、バイク直りそう?」

「電気系統の故障らしいンだけれど、どこが悪いのか、調べるのに時間がかかる、って」

「でも、電気関係の故障なら、全部のパーツを取り換えたら、すぐに直るンでしょ」

「ミーぼう、そうなンだけど、そうしたら、取り換えなくてもいいパーツまで交換することになるから、費用がかさむでしょ。経理がウンと言わないわ」

 赤塚署のミーぼうこと、桜民都巡査と、ハナちゃんこと鹿野花実警部補がミニパトでパトロールしている。

 花実はふだん白バイでパトロールするのだが、バイクが故障したため、久しぶりにミーぼうとコンビを組ンでいるのだ。

 ミニパトは商店街通りに入る。

「ハナちゃん、ここもシャッター通りになってきたわね」

 廃業する商店が目立ち、人の往来もまばらだ。

 ところが、

「あれッ、ミーぼう、あそこ……」

 花実が助手席から前方を指差す。商店の前に大勢の人だかりがしていて、活気ある声が飛び交っている。

「ハナちゃん、車道にまで人があふれていて危険だわ。ちょっと見に行こうか」

「そうね」

 2人はミニパトを駐めると、人だかりの中に入った。

 その商店「赤トンボ」は、小さな小さなコンビニだ。大手のコンビニに比べて3分の1ほどのスペースしかなく、商品の種類も少ない。

 しかし、仕入れている商品は品質がよく、食べ物は食品添加物不使用のものしか扱っていない。値段はそれだけ割高だが、近隣からそうした良心的な品物を求めて訪れる買い物客が多く、お店として一定の評価を得ている。経営者の若いカップルはひとあたりがよく、近所からも慕われている。

「エッ、もう閉店セールなの?」

 人だかりをくぐり抜け店の前に立った民都は、目を疑った。

 手書きで「半額! 閉店、完全売り尽くし」とある。3年前にオープンして、評判はよかった。民都自身も、ほかのコンビニでは見かけない良質な商品がうれしくて、何度も利用している。

 花実は驚いている民都を無視して、店の中にずんずん入っていく。気がついた民都が後を追う。

 レジの前はごった返している。店が小さく元々商品の数が少なかったせいもあるのだろう。商品棚はほとんど空っぽで、あらかた売り尽くされていた。

 花実は、店と奥の自宅とを仕切るドアの前で、しょんぼりしている30代半ばの男に話しかけた。

「静生さん、どうしたの? 閉店だなんて、聞いていなかったわよ」

 静生と呼びかけられた男は、花実の声で顔を上げると、薄く笑った。

「ハナちゃんか。仕方ないンだ。もう限界だよ」

 「赤トンボ」の主である静生は、力なく答える。

「ハナちゃん、こちらの方と知り合いなの?」

 民都が尋ねた。

「高校の同級生。伊豆静生さん。彼女は……」

 民都は花実の紹介を待たずに、

「ハナちゃんの同僚の桜民都。通称ミーぼうです」

 民都ははしゃぐように自己紹介する。

「じゃ、同じ交通課なンだ」

 静生は少しもノッてこない。そこへ、

「あなた、商品は全部売れたわ」

「ありがとう。おまえばかりにやらせて」

「こちらは……」

 静生の妻が、花実と民都を見て、厳しい表情をした。

 2人は警察官の制服を着ているのだ。穏やかではいられない。

「おれの高校の同級生で鹿野花実さん。それから……」

 民都は再び、

「ハナちゃんの同僚の桜民都です」

 花実と一緒にペコリと頭を下げた。

「家内の果鈴(かりん)です」

 夫の静生から紹介された果鈴は、険しい顔付きで、

「あなた、こちらの婦警さんに事情は話したの?」

 店内に押しかけていたお客はすでに姿を消し、店内は閑散としている。

「事情?」

 花実は、果鈴のトゲのある言い方に、ちょっと警戒した。

「いや……」

 静生はことばを濁す。

「どうしたの? 静生さん」

 花実でなくても、気になる。

 民都が脇から、

「その事情を、聞かせていただけませんか?」


 花実と民都は、珍しく意気消沈している。

 運転席の民都は、無言のままミニパトを走らせている。助手席の花実は、厳しい表情で前方を睨みつけている。

 「赤トンボ」を閉める静生の話は衝撃的だった。

 閉店の原因は、簡単に言えば経営が苦しい、客足が伸びないと言うことだが、売上げが急激に落ちたのは、駐車禁止の取り締まりにあるという。

 「赤トンボ」の前は、幅2メートル弱の歩道と幅約6メートルの片側一車線の車道が走る。

 私鉄の駅に通じる道であり、国道に出る道でもあるため、交通量は多い。

 その商店街通りで、駐車場を備えた商店は2店しかない。蕎麦屋と歯科医院だが、それぞれ2台の駐車スペースがあるきり。もちろん個人商店の「赤トンポ」に、駐車場はない。

 「赤トンボ」の客層は、近隣から徒歩で来るお客が6割、車で遠くからわざわざ訪れるお客が3割、残りの1割が車で通りかかった際立ち寄るお客だ。

 ところが、いつの頃からか、駐車監視員制度が設けられ、駐車禁止の取り締まりが強化された。

 すると、それまでは「赤トンボ」の前に車を駐めて買い物を楽しんでいたお客が徐々に減り、遠方から来ていたお客も、あそこに行けば駐禁のキップを切られるとの思いからか、次第に足が遠のいた。

 「赤トンボ」をつぶしたのは、駐禁の取り締まりだ、と言われても仕方ない。

 花実と民都は、赤トンボをつぶした実行犯に数えられていたことになる。

「ハナちゃん、どうしたらいいの?」

 民都がミニパトを止め、重い口を開いた。「赤トンボ」を出てから小1時間ほど経っている。

 そこは東京ドーム3個分の広い赤塚北公園の外周道路だ。ここも、天気のよい日は路上駐車であふれる。

 駐車場はあるが、30台ほどのスペースしかなく、利用するには長時間待たされる。

 この日は祝日。外周道路は、空きスペースがないほどに、ぎっしり違反車両で埋め尽くされている。ここに駐車している車すべてを処理するとなると、たいへんな重労働だ。もっとも、10台も処理しないうちに、違反車両のドライバーがぞろぞろと現れ車を移動させるから、通常1時間余りで終わる。ところが、この日は……。

 花実は違反車両を見渡してつぶやく。

「路駐は、交通の妨げ、交通事故の原因になるから禁止されているわ」

「でも、ハナちゃん。路上コインパーキングなら、いいことになっている。お金を払えば、路駐もいいと言うのは、おかしな話よね」

「ミーぼう。わたしもそう思う。いまだって、車にだれか乗っていれば駐禁の対象にならない。以前、5分以上の路駐はキップを切れ、と上から言われたとき、反発した。道路それぞれの実情に合った取り締まりをしないと、問題が起きる、って。元々、あの商店街通りは、駐車場が少ない。2ヵ所にコインパーキングがあるけれど、狭いうえに料金が高いわ」

 花実は、きょう閉店する「赤トンボ」を思い出している。

「千円の買い物をするのに、5百円以上も駐車料金を出せないものね」

 民都はそう言い、花実に賛成する。

「スピード違反だって、指定速度以上はすべて取り締まれ、って上は言うけれど、わたしは白バイに乗るとき、悪質な違反者だけ、取り締まるようにしている」

「ハナちゃんは、だからいつもノルマが達成できないンだよ」

「ノルマね。上は、外向きには、そんなものはないって言っているけれど、『今月の目標』って指示されると、それがノルマだよ。でも、わたしは気にしていない。出世はあきらめたから」

 民都は赤色回転灯を点けたまま、ミニパトから降りた。

 花実が続く。

 放置車両の取り締まりは、本来外部に委託している駐車監視員の仕事なのだが、北赤塚公園の外周だけは、赤塚署の交通課が行うことになっていた。というのも、監視員とドライバーとのトラブルが頻発しているからだ。

 花実と民都は、放置車両を確認すると、デジタルカメラで車両を撮影し、「放置車両確認標章」をフロントガラスに貼りつけていった。

「オイ、待てッ!」

 3、4台の違反車両の処理をすませたときだ。

 花実と民都がミニパトに戻ろうとすると、中年の男がふらふらと歩道から車道に降りてきた。

「ミーぼう。下がっていて」

 剣道有段者の花実が、民都の前に出て、男を迎える。

「てめえら、そんなことをして恥ずかしくないのかッ」

 花実の顔色が変わる。民都の表情も険しくなる。

「恥ずかしい、ですか?」

 花実は穏やかに対応する。

「そうだ。ドライバーいじめじゃねえかッ」

 男は明らかに酔っている。

「これはわたくしどもの職務です。仕事で行っていることです」

「仕事だったら、もっと人に喜ばれることをやれ。そうだろうが!」

 なるほど。花実も民都も、一理あると思う。しかし、すべての人から喜ばれる仕事なンて、この世の中にあるだろうか。刑事という仕事一つとっても、少なくとも犯人には喜ばれない。

「あなた、どなた? わたしたちのことを知っているみたい」

 花実が男に詰め寄る。

 民都は、花実の狙いを感じ取った。

「ウ、ウッ、いや、なんでもない。おれは戻る」

 男はうろたえたようすで、踝を返す。

「あなた、もしかして、静生さんの……」

 男は、グッとその場に立ち止まり振り向いた。

「そうだ。おれは、静生の従兄弟の、悟だ。昨日、山形から出てきた。静生が東京を捨てて、山形にIターンしたいと言うから……」

 花実は思い出した。静生は高校の夏休み、山形の祖母の家に遊びに行くことが楽しみだとよく話していた。

「悟さん。あなた、それでわたしたちに一言文句を言ってやろうと待っていたのね」

 すでにアルコールが入っているところを見ると、北赤塚公園のバーベキュー広場でパーティをやっているのだろう。おっつけ、静生と果鈴が合流する。2人の間にこどもはいない。

「わたしたちがここに来ることがよくわかったわね」

「そ、そりゃ……」

 悟は酔いが醒めたように、目をシロクロさせている。

「あなた、山形から来たって言ったけど、ウソね」

「エッ」

「ちっともなまりがないもの。静生さんと同じ、東京生まれの東京育ち……」

 そのとき、そう遠くないところから大きな叫び声があがった。

「危ないッ!」

「ナイフを持っているゾ!」

「警察に、110番しろッ!」

 花見と民都はすでに駆け出していた。

 公園入り口の、バイク止めのバーを跳び越え、一目散に走る、はしる、ハシル。

 叫び声が発生した現場は、公園の南側、バーベキュー広場の中央だった。

 花実と民都は1分足らずで駆けつけた。

 花実の手には特殊警棒、民都はミニパトのトランクに常時忍ばせている伸縮式の刺股(さすまた)を握り絞めている。

 現場では50代の作業衣姿の男が、建築作業員が持つ折り畳み式の鋭いノコギリをふりまわし、意味不明のことばを発している。

 多くの家族連れが、バーベキューを楽しんでいる最中に襲われたのだろう。あちこちに、肉や野菜が焼けているバーベキューセットがそのままになっていて、百人近い人たちが50メートル以上離れた場所から、こわごわ推移を見守っている。

 ノコギリ男は、車椅子の老婦人に近寄っていく。逃げ遅れたのだろう。車椅子の車輪が石の割れ目に食い込み動けないのだ。

 老婦人は服装からみて、かなり裕福な暮らしぶりがうかがえる。老婦人の身内と思われる若い娘と年配の男が、10メートルの近さから、犯人の動きを見つめているが、怖くて近寄れないようす。

「ノコギリを捨てなさい!」

 花実がノコギリの男に近付きながら、厳しい声で一喝した。民都は花実の逆方向から、犯人に迫る。しかし、男は花実を無視したまま、老婦人に接近する。

「おまえは、オレを破壊した。そのお返しだ!」

 犯人がノコギリを振り上げる。その瞬間、花実は男に突進した。民都の刺股が宙を踊る。それより早く、老婦人の車椅子が動いた。

 数秒後、男は、民都の刺股で首を挟まれたうえ、花実の警棒を額に受けて、地面に昏倒した。

 まもなく、公園内に数台のパトカーが到着、犯人の男は確保された。

「静生さん!」

 老婦人の車椅子を押して、被害を防いだのは静生と妻の果鈴だった。

 花実は静生の手首から出血していることに気がついた。男のノコギリが掠めたのだろう。民都が素早く静生の手首をハンカチで縛った。 

 静生と果鈴は悟の家族と約束したバーベキュー広場に到着した直後、事件に遭遇した。

 老婦人は「赤トンボ」の常連客だったため、2人は何も考えず、咄嗟に動いたのだという。

 果鈴が車椅子のタイヤを持ち上げ、静生が後ろから車椅子を力いっぱい押した。このため、車椅子のタイヤが石の割れ目から脱出できた。

「静生さん、奥さん、ありがとうございます。ご協力に感謝します」

 花実と民都は2人に対して、深々と頭を下げた。期せずして、周りを取りまいていた人たちの間から、温かい拍手が湧き起こった。


 老婦人は、夫に先立たれていたが、区内でも有数の資産家で、マンションを4棟所有、その3人の息子たちは老人介護施設をはじめ、保育園、幼稚園などを経営している。

 老婦人は今回の件で、「赤トンボ」が今後も続けられるよう、建設中のマンション1階部分のテナントを、格安で提供したいと静生夫婦に申し出た。

 そのマンションは駅前通りにあり、人の流れは充分すぎるほど。しかも、マンションの向かい側には、老婦人が経営する30分無料のコインパーキングが併設されている。

 マンションは3ヵ月後にオープンの予定だ。静生と果鈴は、そのマンションに入居を希望して、購入を申し込んだ。

 最終販売の5部屋にうまく食い込むことができたが、入居は抽選であり、抽選に当たるかどうかはまだわからない。

 老婦人を襲った男は、老婦人が所有する賃貸マンションの管理人をしていたことがある。しかし、住人とのトラブルが絶えないうえ、違法薬物を扱っていたことがわかったため、マンションの管理会社によって解雇された。

 この日彼は、近くの建設現場で仕事をしていたが、昼休みになってドラッグを吸引。そのため、頭がフラフラしたままバーベキュー広場にやってきて、見覚えのある老婦人を見かけた。

 老婦人は彼と面識がなかったが、彼は老婦人がマンションオーナーと知っていたことから、怒りがこみあげ犯行に及んだという。

 悟の一家5人は、このときバーベキュー広場で、山形に行く静生と果鈴とのお別れパーティをしていた。静生たちが合流する前に、悟は待ちきれずに酒を飲み、花実たち赤塚署交通課が静生の店を追い込んだとの思いから、駐禁を取り締まりに来る赤塚署員に、一言苦情を言いたくて花実と民都の前に出てきた。しかし、結果的には「赤トンボ」は蘇った。赤塚署員に助けられる形で。

 一度は閉店した「赤トンボ」は復活することになったが、事件は鹿野花実に大きな決断を促した。

 翌日、花実は上司に辞表を出した。民都は激しい衝撃を受けた。しかし、花実の気持ちは揺るがない。

 警察組織にいる限り、自分の思いを全うすることはできない。例え自分の本意でないことでも、気が進まないことでも、仕事であればやらなければならない。それが組織だ。今回の騒動で、花実はそのことを痛いほど味わった。

 20日後のある夜。

 花実を第二の人生に送りだす酒宴が、花実、民都、民都に片想いの奈良一角、花実の恋人の志賀丸尾(通称マルちゃん)ら4人で開かれた。

 場所は東赤塚駅前の居酒屋「赤べこ」。静生の従兄弟・悟が店長をしていることから、花実が選んだ。

 ビールで乾杯したあと、民都が切り出す。

「ハナちゃん、これからどうするの。どこか、いい仕事先、見つけてあるの?」

 花実は、クスッと笑って、

「しばらく何もしないでじっとしているの。でも、それから……」

「それから?」

「……奥さんになる」

「エッ!?」

 民都が驚いて丸尾を見ると、彼がニヤついている。

「結婚なのッ! ハナちゃん。おめでとう!」

 一角も、昂奮して、

「先輩、ついに決心したンすか!」

「いよいよ、おれも一家の主だ」

 丸尾が冗談めかして胸を張る。

 すると、花実がさらに、

「ミーぼう、奥さんの次を聞かないの?」

「エッ、ハナちゃん、奥さんの次って、奥さんしながら仕事をするの?」

 花実はニッとして、

「ママ、になるのよ」

 民都は花実のおなかのあたりを見て、

「なンだ。そうだったの。ダブルでおめでとう。ハナちゃん!」

 花実は以前から退職を考えていた。その機会がなかなか訪れなかったが、今回の「赤トンポ」がきっかけになった。

 同時に、妊娠が発覚して、丸尾に打ち明けたところ、すぐに結婚が決まった。

「次は、ミーぼうの番よ」

 民都はとぼけて、

「だれと? わたしに、適当なだれかいる?」

 一角が身を乗り出して、自分を指差し、

「ミーぼう、おれ、おれ。奈良一角がずーと、首を長くして待っています」

「そう? 一角さんは気が多いからなァ……」

「そんなこと、ないって。先輩、なんとか、言ってくださいよ」

 しかし、丸尾は一角の窮地には無関心だ。

「ミーぼうの言う通りだ。この男は、いい女がいると、すぐにチョッカイ出すからな。結婚すると、奥さんはタイヘンだよ」

「先輩、それはないですよ」

「だったら、一角。コンビニのナナちゃんはどうした?」

 丸尾は一角の急所を突いてくる。花実がおもしろがって、

「マルちゃん。ナナちゃん、って、なァに?」

「ナナちゃん、ってのはな……」

 丸尾がしゃべろうとするので、

「先輩、怒りますよ。あの話は終わったンですから」

 丸尾は、笑いを噛み殺して、

「ナナちゃんてのは、コンビニのマスコット人形だ。受付カウンターに置いてある、かわいい人形のこと。一角はそいつに惚れて、通っていた」

「人形なの?」

 と、花実。

「そうだったよな。一角?」

 一角、目を輝かせて、

「そ、そうです。先輩の言うとおり。人形です。あまりにかわいくて、おれ、ミーぼうの代わりに家に持って帰れないかと考えただけです」

 すると、民都が、

「一角さん。人形を助手席に乗せてドライブしたら、ダメよ」

「イッー!」

「怪しまれるわよ。わたしは信じているけど、一角さんのこと……」

 一角、民都を見つめて、

「ミーぼう。ごめん。誤解されるようなことをして。許してください」

「一角さん。短い恋はいい思い出よ。大切にして。わたしにも、あるから……」

 民都は、懐かしむように天井を見た。

「エッ、ミーぼうにも、短い恋がある、って……。そッ、それはダメだよ」

「どうして? 一角さんはよくて、わたしはダメなの? マルちゃん、どう思う?」

 丸尾は、笑って、

「そりゃ、ミーぼうが正しい。男も女も法律の下では、平等だ。一角、警察官に対して失礼だゾ」

「ほらッ、一角さんの負けよ」

 民都が、飛びっきりの笑顔で、まっすぐ一角を見つめた。

                 (了)

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駐禁 あべせい @abesei

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