第81話 「服を脱げ」2
薄暗いミーティングルームに連れ込まれる形になったアッシュは、手荒ではないものの優しくはない手つきのセツナによって、壁を背にした状態で立たされた。
そのアッシュの顔の横を通る形で、セツナが腕を伸ばしてくる。いわゆる、“壁ドン”状態だ。ただ、一般的な壁ドンに伴うような、ロマンチックで甘い雰囲気は一切ない。
今のアッシュとセツナの間にある空気は張り詰めているし、そんな中でアッシュを見下ろしてくるセツナの眼差しも、何もそこまでと言いたくなるぐらいに剣呑だ。ミーティングルームの薄暗さも相まって、風情としては殆どカツアゲ、つまりは恐喝である。
僕、いくら持ってたかな……と、思わずアッシュは財布を出しそうになるが、そんなことをすればセツナが本格的にブチギレていただろう。
それぐらい、今のセツナの目つきには余裕が無い。妙に必死というか、彼女から伝わってくる焦燥のようなものをアッシュは感じていた。
「服を脱げ」
舌打ちを堪えるような顔のセツナが、片方の目を物騒に窄めた。
「……えっ」
何を言い出すのか。壁ドン状態にされたままで素の声を洩らしてしまったアッシュの方は、セツナを見上げる目を点にしそうになる。
「ち、違う……! 妙な勘違いはするなよ!」
そのアッシュの間抜けな顔を見下ろすセツナが、焦ったように頬を赤らめつつ語気を強め、噛みつくよう顔になる。
「私はただ、お前の背中の傷を……っ!」
「ちょっとちょっと。こんなところで何を揉めてんのよ?」
上擦った声で喚くセツナの背後から声がして、更に別の声が続いた。ミーティングルームの明かりが点く。
「姉さん。そうやって茶化すみたいに口を挟むのは、今は控えた方がいいんじゃない?」
「別に茶化してるわけじゃないわよ。……っていうか、ウチのメンバーが薄暗がりに男の子を連れ込んだところを見たら、流石に見て見ぬふりはできないでしょ」
「まぁ、それは確かに」
2人の戦乙女が、この場の様子を見に来たのだ。
「さて……。分かってるとは思うけど、ケンタウロス内での喧嘩は厳禁よ」
2人の戦乙女のうちの1人、アッシュがミーティングルームに連れ込まれるところを見ていたらしい彼女の声音はやや高く、ぶっきらぼうで、口振りもちょっと偉そうだ。
「私、物分かりが悪い奴が嫌いなのよね。……アンタ達がそうでないことを祈るわ」
セツナの肩よりも背が低い彼女は、腰に手を当てた前傾姿勢で、下唇を尖らせている。
彼女の赤茶色の瞳や、ツーサイドアップにされたボリュームのある金髪、可憐で生意気そうな顔立ち、そして小柄な体格の全てが調和して、可憐な愛嬌を醸し出していた。
偉そうな口振りとは裏腹に、彼女が纏う雰囲気は貫禄や威厳などとは程遠い。勿論、そんなことを彼女本人に言ってしまえば大変だと聞いた。
「はぁ? 私のことをチビだって言いたいの? 殺すわよ?」と、かなり本気でキレるのだと。
アルキス=バルクベット。
『鋼血の戦乙女』の戦闘メンバーで、巨大メイスを軽々と振り回す怪力の持ち主だ。力比べではヴァーミルと互角以上で、単発での攻撃力はクランでも随一なのだという。
「姉さんの言う通り、ケンタウロス内では暴力沙汰は厳禁だけど、口論は禁足事項には触れないわ」
アルキスのことを『姉さん』と呼ぶ彼女は、セツナと同程度の身長だ。つまりは、アルキスよりも頭一つ以上に背が高く、その体つきも女性的な魅力に満ちている。
「もしも大事な話し合いの最中なら、遠慮なく言ってね。私達は外すから」
ただ、そう言ってふわりと浮かべた彼女の笑みには、どこかニヒルな影があった。
オルキス=バルクベット。
ワイヤー付きの鉈剣を棒きれのように振るう彼女も、姉に似た剛腕の持ち主だ。魔術的な肉体強化を姉妹で受けているのかもしれないが、彼女達の戦闘センスが本物であることに違いはない。
姉であるアルキスと同じ瞳色と髪型をしているオルキスは、その顔立ちも非常によく似ている。
ただ彼女の方は、その目つきの底に醒めたような静けさが常にあって、どことこなく皮肉屋な印象を受ける。
好戦的で小柄な姉、大人びた高身長な妹といった感じだ。
「あぁ。外していて貰おう」
アルキスとオルキスに振り返ったセツナは、苦々しい表情で腕を組んだ。
「私は規則に触れるようなことは断じてしていない。それに、貴様達には関係のないことだ」
セツナは2人を追い払うような目つきで睨み、鼻を鳴らしたときだった。
「例え規則に触れずとも、感情的な口論になってはなりませんよ」
また別の戦乙女がミーティングルームに静々と入ってくる。恐らく彼女にも、この場での遣り取りが聞こえていたのだろう。
セツナよりも高身長の女性だ。
腰まで届きそうな長い白銀の髪、穏やかに細められた眼差し、そこから覗く紫水晶のような瞳も。彼女を構成するそれらは神秘的で蠱惑的、また優雅であるのは間違いない。
柔和な表情と物静かな美貌も、ゆるふわ系というか、オリビアに似たおっとりとした雰囲気を醸し出している。だが――。
「大事な話し合いならば猶更です」
その彼女の声音は甘く、とろけるようで、どこか妖しく、そして不穏だった。
リエラ=クーツ。
以前は神官だったという女性。
彼女もまた軍服然としたクラン制服に身を包んでいるが、その豊満な肉体のせいで制服の胸元はパツパツだった。そもそも『鋼血の戦乙女』のクラン制服がキッチリとしたものであるため、リエラの引き締まった腰やボリュームのある尻までもが強調されている。
チトセとはまた違ったベクトルだが、かなり煽情的な制服姿だ。
「いかなる時でも、争いとは悲しいことです。双方が相手を尊重し、理解し合う努力をせねばなりませんよ」
おっとりとした平和主義者的な口振りだが、彼女が『戦乙女』として扱う魔導武具は、禍々しいほどに巨大に設計された両腕のガントレットである。原始的な暴力を戦闘スタイルとしている彼女は、戦闘になれば容赦なく――寧ろ、嬉々として――相手を粉砕してみせる。
「分かっている……っ!」
肩越しに彼女達を振り返ったセツナは、声を荒げかけるのを堪えるように息を吐き、ゆっくりと首を振った。
「……私とコイツは、言い争ってなどいない。ただ、背中の傷を見せろと……そう言っていただけだ」
疲れたようなセツナの弁解口調に、アルキス、オルキス、そしてリエラの3人は顔を見合せてから、アッシュに視線を向けてくる。
「あぁ、なるほど……。セツナを庇って背中に斧を受けてたものね」
まず最初に納得顔になったのは、腰に手を当てたままのアルキスだ。
小柄な体をふんぞり返らせるようにして、アッシュを下目遣いで見据えてくる。ただ、実際のところはアッシュの身長の方が高いため、見上げられている形だった。
「ん……? でもアンタ、チトセからの治癒施術を一旦は断ってたわね」
「彼は治癒術士だから、負傷した騎士団員を癒すのを優先してくれたのよ。自分のことを後回しにしてね。でも……」
状況を思い出すように視線を斜め上に持ち上げたオルキスも、自分の唇に指で触れながらアッシュの方を見た。そして怪訝そうな顔になる。
「……そういえば貴方、自分の治癒は結局しなかったの? そんな様子も姿も、私は見かけなかったけれど」
「私も気になってはいましたが、まさかアッシュさんは負傷したままなのですか?」
そう続いたリエラも、アッシュのことを気遣ってくれているようだ。細められた目尻と眉を心配そうに下げている。
「ずっと平然とした様子でしたから、何らかの治癒処置を私の知らないうちに受けたものだと思っていましたが……」
「姉様が治癒を施そうとするのを、コイツは断り続けていた」
吐き捨てるようにそう答えたセツナは、またアッシュに向き直り、舌打ちを堪えるように鼻を鳴らしてくる。
「自分の傷は応急処置程度で済ませて、他人の世話を焼くことを優先していたんだろう。お前は」
「い、いえ、チトセさんから治癒施術をお断りさせて頂いのは――」
睨んでくるセツナに、アッシュは理由を説明しようとした。
だがそこで、「そういう自己犠牲は、褒められたものではないわね」と、アッシュの言葉を力強く圧し退けるようにしてアルキスが鼻を鳴らした。
見れば、むっとした顔になったアルキスが、その小柄な体をふん反り帰らせたまま、アッシュのことを気遣うような、それでいて厳しく非難するような目つきになっていた。
「他者優先の治癒活動は尊いけれど、今は任務の最中よ。いい? アンタにだって、役割と義務があるの? 分かる?」
びしっと鼻先に指を向けて来るアルキスに、アッシュは僅かに体を反らして小刻みに頷く。
「え、ええ。それは、分かっているつもりです」
「姉さんは別に、貴方を責めているわけじゃないのよ」
アッシュに微笑みかけてきたオルキスが、軽く片目を瞑ってみせた。
「姉さんが言いたいのは、優先順位を誤らないように……、ってこと。貴方はエリシアさんの専属護衛なんだから。無茶をする元気は、エリシアさんの為に取っておいてね」
「そうそう! 私が言いたいのは、そういうことよ!」
ふんす! と鼻息を吐き出したアルキスが、ずいっとアッシュに近寄ってくる。
「それでその、かなり今更にはなるんだけど……。アンタ、傷は大丈夫なの? ちゃんと治しなさいよ? い、痛くない?」
ちょっと困ったような上目遣いになったアルキスも、やはりアッシュのことを心配してくれているようだ。
「レイダー共との戦闘のあとは私達もバタバタしてたけど、今は状況も一段落してるし。このタイミングなら、私達に遠慮なく甘えてくれていいわよ?」
微笑んだオルキスが片目を瞑って、アッシュに頷いてくれた。眉を下げて頬に手を当てているリエラも、深く頷いている。
「私もチトセさんほどではありませんが、治癒魔法は扱えます。よろしければ、私が傷を癒しましょうか?」
優しい言い方をするリエラが胸に手を当てながら、そう申し出てくれる。だがそれを、どこか苦しそうな表情セツナが遮った。
「いや、その必要は無い。私が魔法薬を使う。……コイツの傷は、私を庇ったものだ」
言いながらアッシュを睨んでくるセツナの眼差しからは、だが、怒りや憎悪は感じられなかった。嫌悪ともまた違った種類の、やはり焦燥と苛立ちをアッシュは感じた。
それは恐らく、アッシュを前にしているセツナの瞳が、やけに揺れているからだろう。
「さっきも言ったが……、背中を見せてみろ」
声を硬くした命令口調のセツナが、強張った目つきでアッシュを見下ろしてくる。
やはり彼女も、アッシュの背中の傷を気にかけてくれていたのだ。いや、或いは、セツナを庇ったアッシュに対して、彼女が負い目のようなものを感じていたのかもしれない。
「いえ、その……。皆さんに誤解を与えてしまって申し訳ありません。僕がチトセさんから治癒施術をお断りさせて頂いたのは、僕が自分の傷を治癒し終えていたからなんです」
セツナの真摯な想いを大事に受け取るつもりで、アッシュは出来るだけ穏やかに応じた。
恩着せがましい物言いはしたくなかったし、そもそもアッシュは、セツナに恩を売ろうとなどとも全く思っていない。
「騎士団の方々の中にも、負傷者がいましたから。チトセさんにも、そちらの方々を癒すことを優先して貰いたかったんです」
レイダー達との戦闘のあと、アッシュとチトセ、マリーテとステファは、レイダー達との戦闘で負傷した騎士団員達に治癒を施した。その際に、アッシュ達に感謝の言葉を述べてくれる者もいれば、忌々しそうに睨んでくるような者もいた。
騎士団員のような貴族に縁ある者達のなかには、冒険者を見下して嫌悪している者達がいることを、アッシュは実感した。アードベルに回ってくる王都からの依頼が、冒険者達の命を買い叩くような報酬や貢献度付与の設定であることも。
だがそれでも、治癒術士としてのアッシュの“役割”は、やはり目の前の負傷者を癒すことだった。特にレイダーとの戦闘後は、自分よりも、他者を優先すべきときでもあった。
その為にアッシュは、チトセからの治癒術を施すという申し出を丁重に断ったのだ。
勿論、アッシュ自身の傷については、あの黒フードとの戦闘の最中に殆ど癒していたからでもある。
だが、訝しげに顔を見合せたアルキスやオルキス、リエラ達は、「あの戦闘の最中に、自分に治癒魔法を……?」といった雰囲気で目を見交わし、アッシュの言葉を疑っている様子だった。
「貴様……、私を舐めているのか? 見え透いた嘘を吐くなよ」
刃のように目を細めたセツナもまた、アッシュの身体を探るように睨んでくる。
「多少は傷を塞いで痛みは止められるだろうが……。いくら治癒魔法の回復速度が速くとも、まだ傷口は完全には癒えていない筈だ。見せろ。上位魔法薬を使ってやる」
「いえ、僕の背中の傷は……」
治癒をし終えている。
アッシュは、そう続けようとした。できなかった。
「私は……っ!」
張り詰めたセツナの声が、それを遮ったからだ。
彼女はその冷厳な美貌を苦しげに歪めながら、喉元に出掛かった言葉を必死に抑え込んでいるふうだった。
「……私は、あの黒いフードと刃を交えたからこそ、いや……後れを取ったからこそ分かる」
ゴリゴリと奥歯を噛んだセツナが、そこで絞り出すような低い声を洩らした。
「お前の傷が浅くないことぐらいはな。……私には、お前の傷に責任がある。お前の言葉を、そのまま信じることは出来ん」
『お前の事ことは信用していない』とは、レイダー達との戦闘前にもセツナから言われていたことだ。アッシュとしても、今のセツナの心情を何となく察することができたし、共感できる部分もあった。
恐らくアッシュが何を言っても、今のセツナは納得しそうになかった。それに、アッシュがこの場を曖昧に遣り過ごそうとすることも、決して許さないだろう。
もしも立場が逆だったならと、アッシュは思う。
自分を庇って、セツナが傷を負っていたなら――。
そのときはアッシュも自分を責め、平静ではいられない筈だった。
きっと、自分の治癒施術を受けてくれるようセツナに頼み込んだだろう。そこでセツナが問題無いと言い張り、傷は癒えたと強弁しても、それを正面から信じることもできなかったに違いない。
穏やかにセツナを見返し、アッシュは薄く息を吐く。
今のセツナを安心させるといよりも納得して貰うには、結局のところ、彼女の厚意を素直に受け取るしかないのだ。
「……では、お気遣いに甘えさせて貰いますね」
アッシュは小さく頷いて、羽織っていたローブを脱いだ。
「僕自身では、傷は完治させたと思うですが……。もしも傷の癒えが不完全だった場合は、セツナさんの魔法薬での治療をお願いします」
少し深めに頭を下げてからアッシュは、セツナ達に背を向ける形で、ボディスーツから上半身を出していく。顔や髪型を女装として整えたまま、男性としての上半身を裸にするのは、何だか妙な感じがした。
虚像としての“キニス=グレイモア”。その内側から、実像としての“アッシュ=アファブル”を引き摺り出してくるような感覚だった。嘘と事実の境界の上で、アッシュは自分の素肌を晒していく。
「ただ、その……。僕の身体は少々醜いので、お見苦しいものをお見せすることになるかもしれませんが」
言いながらインナーを脱いだアッシュは、背中と肩を露わにする。
こんな風に肌を晒すことは、養護院のクレアや、王都からやってきた審問官以外には、恐らく初めてだった。
ほんの少しだけ、アッシュは緊張した。
“魔王の器”として造り出されたアッシュの、死体から編み上げられたその身体には、禍々しい紋様が黒々と刻み込まれている。
隠しようがないほどに、容赦なく克明に、びっしりと。アッシュの身体の存在意義を、アッシュが生みだされた理由や哲学を、黙したままでこの世界に向けて暴くかのように。
自分の体に刻まれているものが、他者の目には陰惨でグロテスクなものに映ることは、アッシュも自覚している。
今も、アルキスとオルキス、リエラが黙り込み、息を詰まらせる気配が伝わって来る。刺すような沈黙の中、彼女達の視線が自分の背に突き立つのを、アッシュは痛いほどに感じていた。
彼女達は、アッシュが“教団”出身であることは知っている。だが、アッシュの出自についてや、ギギネリエスとどのような関係であるのかは知らない。
そのことは、ヴァーミルから予めアッシュも聞いている。
つまりアッシュの過去については、彼女達に伏せられたままだった。
だが今は、伏せられたカードを無造作に捲られたように、アッシュの過去にまつわるものが露わになった。この肌の禍々しい刻印は、アッシュが通過してきた時間が、決して穏やかではないことを明確に物語るに違いなかった。
だがそれでも、今のアッシュは落ち着いていられた。
自分自身を受け容れることができていたといった方が、正しいかもしれない。
以前、この紋様に触れてくれたローザの手の、あの優しい温度を思い出す。それに続いて、カルビやネージュ、エミリアの顔が、ふっと浮かんで消えた。
僕を受け容れてくれる人達がいる。その事実が、アッシュの心を明確に支えてくれる。彼女達の温かい賑やかさを、今は恋しく思う。
この感覚が、“寂しさ”であるということに気付き、内心で苦笑する。僕は、弱いままだ。その自嘲を胸の中に押し込みながら、アッシュは肩越しにセツナを見た。
彼女と目が合う。
「ぁ……」
アッシュの眼差しを受けたセツナは、僅かに体を引いた。後退りかけて踏み止まりつつ、だが明らかに怯んでいた。
アッシュが抱えているものを思わぬ形で、しかし結果的に、この場に引き摺り出してしまったことに対し、どのような態度を選ぶべきなのか。今のアッシュの感情を慮りながらも、この場に相応しい言葉を、どう取り繕えばいいのか。
その答えを彼女は持っていない様子だった。
「わ……、私は……」
怒りに悲痛さを混ぜ込んだような表情になったセツナの声は、掠れて、震えていた。
違うのだと。
そんなつもりでは無かったのだと。
喉元から出掛かった言い訳を必死に飲み込みながら後悔しているような、弱々しく赦しを請うような、そんな様子だった。途切れて続かなかった彼女の言葉の先は、苦しそうな吐息に混ざって消えていく。
もはや片付けようのない険のある沈黙に中に、セツナは閉じ込められ、沈んでいこうとしていた。
「……どうですか? 僕の背中に、傷はもう残っていないでしょう」
そのセツナの手を掴んで、水面に引っ張り上げるようなつもりで、アッシュは軽く笑った。ワザとらしくならない程度に、声を少し明るくする。
「この身体は、僕自身が唱える治癒魔法との相性が非常に良いんです。そのことを自覚したのは最近になってですが、この特質を有効活用すべく、僕も鍛錬してきました」
言いながらアッシュは、脱いでいたインナーを着込み、肩と背中をスーツに押し込んだ。それからローブを羽織り直して、セツナ達に向き直る。
「他の方に治癒を施すよりも、僕自身に治癒を施す場合は、その治癒スピードや深度を強化しやすいんです」
「……だが、貴様自身の命を大きく削った筈だ」
俯きがちになったセツナが、上目遣いでアッシュを睨んで低い声を洩らした。アルキスやオルキス、リエラが何かを言うのを制するように。それに、アッシュからの罰を求めるかのようでもあった。
「それが、僕の役割ですから」
だがアッシュは、そんなセツナに答えるべき明確な答えを持っている。
「確かに今の僕は、エリシアさんの専属護衛です。ですが、あのときは違いました。ウルズさんも仰っていた筈です。“時間外労働”だったと」
屁理屈かもしれないが、アッシュは少し肩を竦める。
「それに治癒術士として最も大事なことは、パーティの仲間が戦闘不能に陥ることを避けることだと、知人から、いえ……友人からも教わりました」
「だから私を庇ったのか? そんな、集団戦の基本を実践するために……、私のために、自分の命を削って捨てたのか?」
奥歯をゴリゴリと噛んだセツナが、噛みつくような顔で言ってくる。アルキスとオルキス、リエラの3人は、難しい顔になって何も言わない。セツナが言葉を進めるのを見守り、アッシュの言葉を待つように押し黙っている。
恐らく彼女達も、セツナが何らかの形で納得するか、この話題の潮時がくるまでは口を挟むべきではないと考えているに違いない。
実際に今のセツナは、アッシュ以外の者の言葉を受け容れようとはしないだろうし、拗れるに決まっている。
「えぇ。誰か一人でも戦闘不能になるよりは、治癒術士である僕が命を削ってでも、全員が健在である方が重要でしょう。本来の護衛任務が後に控えていましたし、それに」
彼女達の視線を受け止めながら、アッシュは頷く。
「あの場でレイダー達を退けてエリシアさんを護るためには、いえ、護りきるためには、セツナさんを失うわけにはいかないと思いました」
嘘も誤魔化しも無く、アッシュは静かに言い切る。相変わらずアッシュを睨んでいたセツナは、何かを言いたげに唇を動かしていたが、結局はむすっと黙り込んで舌打ちをした。その舌打ちはアッシュにではなく、セツナ自身に対するものに違いなかった。
「アンタって」
そこで、やれやれ顔になったアルキスが鼻を鳴らした。強張った空気の中で、張っていた肩から力でも抜くように。
「見かけは可愛いクセに、自分の意見を押し通したがる性分みたいね。そのために自分の命を削るほどの」
アルキスは口許に軽い笑みを浮かべている。この軽口めいた口振りも、今までの張り詰めていた空気を和らげるためのものだろう。
「ふふ。筋金入りの頑固者ってワケね。姉さんみたい」
楽しげに続いたオルキスが、姉を横目で見下ろしながら小さく肩を揺らす。
「はぁぁぁ? 私のどこが頑固なのよ?」
「可愛いゴスロリ服を着てみたいのに、興味無いって頑なに言い張ってるところとか」
「はぁぁあああぁぁぁぁぁぁん!?」
顔を赤くしたアルキスが歯を剝いてオルキスを睨むが、オルキスの方は、そんな姉の反応を愛おしむような苦笑で「ごめんごめん」と両手を振っている。
「アルキスさんの趣味はさておき、でも、なるほど……」
バルクベット姉妹の無邪気な騒がしさを横目で眺めていたリエラが、すぅっとアッシュに歩み寄ってくる。まるで踏み込むように。足音のしない歩き方だった。
「ヴァーミルさんとシャマニさんが、貴方を気に入るのも理解できる気がしますねぇ。んぅふふふふふ……」
アッシュの前に立ったリエラは、唇の端を赤い舌でチロリと舐めながら、右手でアッシュの髪に触れ、それから頬に触れてくる。静かで柔らかく、愛おしむような、それ以上に淫靡な手つきだった。
「えぇと、リ、リエラさん……?」
リエラを見上げるアッシュは、何となく背中に冷たいものを感じて、半歩だけ下がろうとした。すると、目を窄めたリエラが2歩分、すすっと身体を寄せて来た。遠慮のない距離の詰め方だった。
「あ、あのっ……!」
その身長差のせいで、アッシュの目の前にはリエラの豊満な乳房と体温が迫ってくる。アッシュは上半身を仰け反らせた。
不本意だがアッシュは、軍服然とした制服を押し上げる、リエラの乳房を見上げる形になる。身長差があるので仕方がないのだが、そこでリエラと目が合った。
乳房の向こうに見える彼女の顔には、微笑みが浮かんでいた。
「私も、貴方のことを好きになれそうですよ」
アッシュを見下ろしてくるリエラの微笑みは、聖母のように優しげだ。
だが彼女の深紫色をした瞳には、底が見えないような影が常に蹲っている。不吉な印象を拭えない。表情と感情が微妙に噛み合わず、どこかで連動していないような、そんな微笑みでもあった。
「必要であれば、貴方は何の迷いも無く自己犠牲を実践する……。でも貴方は、恐れを感じていないように見えます。えぇ。まるで、自分の内面に在る何かを……、自分自身を損ねたいかのように……」
彼女の瞳は、アッシュを探るように見詰めている。カルビとはまた違う種類の、容赦の無さで。眼差しによって乱暴にアッシュの肉と骨を暴き、その中にあるものを確かめようとしているようでもあった。
「出たわね。リエラの悪い癖が」
「えぇ。変なスイッチが入っちゃってるみたい」
アルキスとオルキスが不味そうに顔を見合せ、その傍では、セツナも渋い表情になって黙り込んでいる。まるで、今度は自分が黙る番だとでもいうふうだった。
アッシュは戸惑いつつも、何となく察することが出来た。リエラもまた、今のような様子になると手が付けられないというか、気が済むまでは相手を逃がさない質なのだろう。
先程アッシュが曝した肌の紋様と、そこに物語られたアッシュの過去の暗がりが、リエラの心を捉えたようだった。
「その心の奥底で、貴方は何かを抑圧している風ではありませんが……。いえ、その反対でしょうか……。貴方は、貴方自身を、この世界に馴染ませようとしている。……違いますか?」
聖母のような微笑みのまま、リエラは滔々と語る。その声音が、どこか恍惚としたものになっていく。
「理由と理屈を探しながら、正しく、間違いのない方法で、自分を解放しようとしている。その方法を、探っているのでしょうか? この世界と、貴方という存在の和解の方法を……」
熱っぽい吐息を洩らしたリエラは、アッシュを見詰めながら、また唇を舐める。2度。ゆっくりと。赤い舌が、ぬめるような光を帯びていた。
彼女の片方の手は、アッシュの頬を撫でている。もう片方の手が、ローブの上からアッシュの心臓の位置に置かれていた。しなやかなリエラの掌は、アッシュの鼓動を味わうように微かに震えている。
「……そういう感覚は、やはり歪でしょうか?」
リエラから向けられた言葉を否定せず、アッシュは穏やかに尋ねた。
そのアッシュの態度を見下ろしていたリエラの方は、頷くような瞬きをゆっくりとしてから、微笑みを深めてみせる。
「“実存は本質に優先される”……。私がまだ神官だった頃に、そう教わりました。これは、“チキュウ”という世界にあった考え方のようですが」
邪悪さとは種類の違う、他者を掌握する悦びを味わう笑みにも見える。だが、もっと複雑な感情を宿している風でもあった。
「貴方が内面に抱えるものと、この世界に表出された貴方の行いに歪みがあると感じられるのならば、後者こそが貴方の本質を表しています」
彼女もまた、アッシュの言葉を否定しなかった。それに、今までの声音よりも、更に優しく、穏やかになった。まるでアッシュの肩を抱いてくるような、強引な共感が籠っているようにも感ぜられる。
まるで、自分自身にも言い聞かせるような――。
「貴方が自らを歪だと感じ、自らを疑う真摯さは尊い……。心の暗部を抱えてしまった者が、それでも正しく生きようとする努力と決意の証です」
リエラは以前、小さな町の神官だったという。
女神に向けられた他者の懺悔にも、彼女は真摯に向き合ってきたのだろうと思った。彼女が居たという町の誰もが、彼女の思慮深い優しさと温かい言葉に、心の平和を求めていたのではないか。
男女問わず、町の人々はリエラを前にして、自分の罪を苦悩と後悔を吐露した。神殿に居た頃のリエラは、他者の内部の暗く柔らかい場所に触れ続けていたのだ。
だが彼女は、その好戦的で狂暴な一面を持つことを理由に、神官を続けることを許されなかった。
「んふふふ……。お互い、この世界と和解するための道を探りましょうか。あぁ、でも……!」
そこでリエラの声が、嬌声じみて上擦った。とろんとした目を細めた彼女は、アッシュの頬に触れる手に力と、アッシュの胸に乗せている手にも力を籠めてきた。ほぅ……と熱っぽい溜息を吐き出す。
さっきまでの真面目な文脈というか、リエラが維持しているテンションの種類が変わった。アッシュも戸惑う。
「貴方とは一度、手合わせをお願いしてみたい……。殺し合いとまではいかなくとも……。戦いの最中で、貴方の吐息と体温を感じてみたいですねぇ……」
「そ、それは、またの機会ということで……」
彼女の乳房から逃げるような態勢のまま、アッシュは顔を引き攣らせて笑みを作った。舌なめずりしながらリエラに見詰められても、どう反応していいかわからない。
「ふん。戦闘狂め。気色の悪い声を出すな」
そう一喝したのは、今まで黙り込んでいたセツナだ。
「……貴様の傷が癒えていたなら、もう用はない」
付き合っていられないといった感じでセツナは鼻を鳴らして、ミーティングルームを出て行こうとした。その途中で、彼女は鋭い横目でアッシュを見た。
「……礼を言う。それと、すまなかった」
相変わらず張り詰めた顔のセツナはそこで、アッシュに会釈するような目礼をしてくれた。
「借りは返す」
短く、そして素っ気なく、ぶっきらぼうに言い捨てるようなセツナ物言いだが、彼女は最後までアッシュの目を見ていた。そのまま背を向けて行こうとする彼女に、アッシュも言う。
「あ、あの、セツナさん!」
面倒そうに振り返ったセツナが、「何だ?」と鋭い目で訊いてくる。リエラに引っ付かれたままのアッシュも、セツナに頭を下げた。
「僕の方こそ……、真剣に心配して頂いて、ありがとうございました」
セツナはアッシュのことを信用していないと言っていた。だがそんなことは、やはり重要ではない。アッシュがどのような評価をされているのかなどは、どうでもいい。
アッシュにとって大切なのは、セツナという女性が義に厚く、真に誠実で、信用すべきひとであるということだった。
「改めて、よろしくお願いします」
そう続けたアッシュは、無意識のうちに微笑んでいた。無防備に。
「……ぅっ……!」
一瞬だけ怯んだように赤面したセツナが、すぐに舌打ちをしてアッシュに背を向ける。そのままズンズンと足早にミーティングルームから出て行ってしまう。ちょっと様子がおかしかった。
……な、何か気に障ることでもあったのだろうか。
「あ、あの、セツナさん……?」
アッシュはさりげなくリエラの手を解いてセツナを追おうとしたが、そこで後ろから誰かに抱き着かれた。いや、抱き留められたという方が正しいのかもしれない。
「あ~、ダメダメ」
優しく包み込むように。ふんわりと。肩の上あたりに柔らかい感触が乗ってくる。ギクリとして肩を跳ねさせると、肩の上に乗っていた柔らかいものが、ふるるん、と揺れる。
「追いかけちゃダメだって」
振り返らなくても声で判った。
「今のタイミングで追ってこられたら、セツナさんがアッシュ君に惚れちゃうよ」
アッシュの頭の上、その後ろの方から柔らかな声が降ってくる。オルキスだ。彼女の声は、可笑しそうに笑っているが、妙に熱っぽい。
「私だって、さっきのアッシュ君の笑顔に、ちょっとキュンキュン来ちゃったんだから」
「んふふふ……。そうですねぇ」
アッシュから離れたリエラが、自分の頬を両手で包むようにしてアッシュを見下ろしてくる。若干、彼女も鼻息が荒いような……。
「アッシュさんのような、魔性の可愛らしさを備えた男性と接するのは、セツナさんもきっと初めてのことでしょうから。うふふふ、んぅふふ。セツナさんのような真面目な方には、刺激が強いかもしれませんねぇ」
再び、じりじりと身体を寄ってくるリエラと、彼女の乳房。アッシュは逃げようにも、オルキスの両手に捕まっている。というか、オルキスの乳房に背後に抑え込まれているような感覚だった。
まるで肉食獣に噛みつかれ、地面に抑え込まれた草食獣のような心細さを覚える。
「え、えぇと……。オルキスさん? い、リエラさんも……、何だか目が据わっているような……」
戸惑うアッシュの脳裏に、『あんまり無防備に笑みを見せるな』というカルビの言葉が過ったときだった。楽しげなオルキスが手を動かした。
「アッシュ君、やっぱり筋肉凄いわね~……。こう、筋肉の密度が高いというか……。抱き着いたときには柔らかくていい匂いだなぁって感じなのに……。グッて固くなると鋼みたい」
今のアッシュの姿は女装しているせいもあるのかもしれないが、オルキスの手つきは遠慮が無かった。オルキスの手はアッシュの脇腹から太腿まで這い回るように動きながら、最後にはアッシュのお尻を包むように滑らかに動いた。
「きゃあ!?」
思わずアッシュは身体を強張らせ、オルキスに捕まったままで変な声を上げてしまう。だがそれが不味かった。
「あらあらまぁまぁ。本当に……。初々しくて、いい反応ですねぇ」
「ふふふ。悲鳴まで女の子みたい。ヴァーミルの言う通り、専属護衛役としては申し分ないわね~。もっといじめたくなっちゃう」
「では私も、アッシュさんとのスキンシップで、仲良くなっておきましょうか」
興奮気味の笑顔で、ほんのりと頬を染めてオルキスとリエラが、鼻息をちょっと荒くしながら盛り上がり始める。
そして楽しそうな2人は、アッシュの身体の彼方此方を、冗談めかしつつもやたらとねちっこい手つきで、さわさわさわわっと撫でてきたのだ。
「ひゃぁああっ!?」
オルキスの腕に捕まったままのアッシュが、身体を伸び上がらせて再び悲鳴を上げたところで、「調子に乗らないの」と助けに入ってくれる者がいた。
鬱陶しそうに下唇を突き出したアルキスだ。彼女はアッシュに纏わりつこうとしてきたオルキスとリエラを、その剛腕で引き剥がしてくれた。そしてアッシュを庇うように立って腕を組み、「ふんす」と鼻を鳴らしてみせる。めちゃくちゃ頼もしかった。
「この子は仲間の恩人なんだから。おもちゃにするのは禁止」
半目になったアルキスが、交互にオルキスとリエラを見てから、念を押すように続ける。
「あと、さっきも言ったけど、私は物分かりが悪いヤツが嫌いなのよね」
「……えぇ、分かってるわよ。姉さん。大丈夫。もう調子に乗らないわ」
まずオルキスが降参するように両手を上げて、隣にいたリエラも渋々といった感じで何度か頷いた。
「そうですね……。えぇ。少々、羽目を外してしまったことは謝りますわ」
「そう。分かればいいのよ」
腕を組んで胸を反らしているアルキスは、ふふん、といった様子で満足そうだ。
ただ、オルキスとリエラの2人が意味深に目を見交わしたあと、妖しくも熱っぽい流し目を向けてきたことにアッシュは気付いていた。
色っぽくも、ちょっと意地悪なお姉さんといった風情で、自分の唇に指で触れている彼女達の目つきは、獲物を狙う狩人のようでもある。隙と迷いがなくて、狩りを楽しむ高揚が窺えた。
では、彼女達が狩人ならば、獲物は――。ぞわわっと背中に寒いものを感じながらも、アッシュは顔を引き攣らせつつ笑みを作って応じる。
……アードベルに着くまでの間、あの2人には背後を取られないよう少し気を付けた方がいいかもしれない。
「まぁ、ウチのクランは女所帯だから。アンタみたいな子に免疫が無い連中も多いのよ」
アッシュが内心で気を引き締めているのを読んだのか。腕を組んでいたアルキスが振り返ってきた。
「特にウルズとか。アンタの大ファンなのよ、アイツ」
「え、ファン……? 僕のですか?」
アッシュは驚くというよりも、架空の話を気軽にされているような感覚だった。そもそも、ウルズと会ったのはこの護衛任務が初めてのことだ。それに王都に到着するまでは別々のケンタウロスに乗って来てたので、会話らしい会話を交わした記憶も無い。
「まぁ、浮かれてるような素振りは全然見せないけどね。アンタと同じケンタウロスに搭乗することになって、内心では小躍りして張り切ってるんだと思うわ」
軽く笑うアルキスの口振りは、面倒見のよい姉御肌といった感じだった。
「逆に、しょぼくれまくってるのがシャマニね。行きも帰りもアンタと別々だし。さっきも半泣きになってたわよ」そう冗談めかして言い足した、彼女の目つきも優しいものだった。
「……ねぇアンタ、ちょっと屈みなさい」
「えっ」 屈む……?
「いいから」
片手を上げて、掌を下にふってみせるアルキスは急かすように言う。
「は、はい……!」
アッシュが慌てて屈んだところで、今度はアルキスが背伸びをした。そして、わしゃわしゃと片手でアッシュの頭を撫でてくれる。かなり近いところにアルキスの綺麗な顔があって、少しドキッとした。
「帰り道も、よろしく頼むわよ。私達はアンタを信頼してるから。きっと、セツナもね」
そう言って唇の端をニッと持ち上げたアルキスは、バシバシとアッシュの太腿の横を叩いてくる。励ますというか、元気づけるというか、アッシュのことを改めて自分達の“仲間”として迎える、ある種のしるしのように。
「えぇ。ありがとうございます。……またアードベルまで、よろしくお願いします」
「ん」と頷いたアルキスは、「あぁ。そうだ。はい、コレ」と、アッシュに何かを手渡してくれる。「飴ちゃん。あげるわ」
さばさばとした笑い方するアルキスがくれた飴玉は、全部で4つ。ピーチにイチゴ、ソーダと、オレンジ味だった。その色合いを見たとき、ふっと、またローザ達の顔が脳裏に浮かんだ。
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いつも読んで下さり、本当にありがとうございます!
更新が遅くなっており、もうしわけありません……。
少しでも面白いと感じて頂けましたら、★評価、応援をお願い致します。大変励みになります。
今回も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
※前話を少し修正させて頂いております。
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