第7章 第2回イベント
第88話 海岸
第2回イベントを開催します。
その内容はクラン同士の点取り合戦です。上位十クランには賞品が渡されます。
賞品は閉会式の時送ります。
点取り合戦に参加しますかY/N
日程 現実時間2日後11時から
NewLifeOnline運営より
―――メール―――
「サキは運営からのメッセージ見た?」
「見たよ。でも点取り合戦を出来るほどクランって設立されているの?」
「うん。クラン設立権を得られるクエストが見つかったらしくて乱立してるって掲示板に書いてあったよ」
「へぇー、でも私たちは全然メンバーがいないから難しいかもね」
「詳細が出てないから分からないけど、まあ人数的には不利だよね。ただ人が少ないところに救済処置にがあるかもしれないからなんとも言えないけど……」
彼女たちはまだ先であるイベントへの考察をしていた。
彼女たちはイベントまでに技術を磨こうということになり、平原へと向かった。その際アーサーとベディは用事があるとのことで久しぶりの二人での行動となった。
「なんか二人で冒険するの久しぶりだね」
「そんな時間は経っていないはずだけど、クーデター後は濃密だったからね」
「アーサーさん達との冒険も楽しかったけど、やっぱりサキと二人だけの方が気が楽で楽しいなぁ」
「それは嬉しいね」
サキの告白に近いような発言にリーブは頬を赤く染めながら小さく喜んでいた。その姿を見てサキも頬を染めていた。
「……そう言えば"ただの鳥"の名前って決めたの?」
「うん。マルコって名前にしたんだ!」
「まさかその名前って"不死鳥"マル――」
「それ以上言ったらダメだよ。それに私は飛べる豚の名前をイメージして決めたからね」
「なんで?」
リーブがこの疑問を抱くのは至極当然の事だった。
「あの豚みたいに大空を羽ばたいて欲しいからだよ」
「……あの豚呼ばわりは止めようよ。一部の読者が喜んじゃうからさ」
「読者?」
「いやこっちの話」
サキたちが世間話をしている間に平原に到着していた。相変わらず平原にはモンスターが少なく、二人とも接敵するまでの時間が勿体ないと思っていた。
「これは相談なんだけどさぁ」
「なに?」
「平原の奥にある海岸に行かない?」
「別にいいけど……強いモンスターが多いって聞いたよ?」
話を切り出したのはリーブだ。平原に居るモンスターでは満足出来なくなったリーブは、ここよりも強いモンスターが多い海岸に行くことをサキに提案した。サキとしても少し強いくらいの敵が丁度いいと思っているので内心は行きたいと思っていた。しかし強過ぎても困るのでどのくらいの強さかを確認した。
「"極悪の厄災"ほど極端に強いモンスターは居ないと思うから、今の私たちでも倒せると思うよ。まあ大きい群れに当たったら負けるかもだけど」
「それなら行こうか」
サキとリーブは海岸へと向かった。海岸へ行く間に彼女たちはかなりのモンスターとエンカウントとしていた。これには流石の彼女たちでも少し迷惑に感じ、物欲センサーという物が働いているのではと疑っていた。
「なんで戦いたい時には出て来なくて、別に戦いたくない時には沢山出てくるのかなぁ?」
「これが物欲センサーってものだよ……はぁ」
強くはないが、かなりの量を捌いたので疲れているのか、リーブはため息をついていた。
「まあ無事着いたんだから、こっちは楽しもうよ」
「……そうだね」
モンスターとの戦闘を楽しもうと言う
「よし、モンスターが来たから切り替えよう!」
「……そうだね」
サキの言う通り、モンスターが近付いて来ていた。
近付いて来るモンスターは背中に大きな貝を背負い、両手にハサミを持つ巨大なヤドカリだった。
「大きなヤドカリって強そうだよね」
「何呑気なこと言ってるの!?あれはかなり強いよ!」
リーブの言う通り、目の前に居るヤドカリは強い。まずヤドカリが背負っている貝殻は要塞の如く強固で物理、魔法耐性を持っている。更にヤドカリの持つハサミは鉄だろうと簡単にぺちゃんこになるほど強い力を持っている。
「初手から全力で行かないと私達でも負けるよ。だからレオや頼光を召喚するのも頭に入れて置いて」
「分かったよ」
相手の強さを聞いたサキは一瞬で切り替えた。そんな彼女の顔は武士の物となった。
風が吹いた瞬間、彼女は姿を消した。否、目に追えないほどの素早さでヤドカリの背後まで移動していた。
「春風流一閃!」
サキの刀はヤドカリの貝殻を捉えた。しかしその装甲は彼女が思っていた以上に強固で弾き返されてしまった。
「……っ!硬い!!」
「下がってサキ!!」
刀を弾き返されて隙の生まれたサキへと巨大なハサミが迫っていた。
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