第9話 初のUM
「リリルカさん」
「本当に来るのですか?何度も言いますが、危ないですよ!」
「私はリリルカさんのために行くわけではありません。私は妹さんのためにいくだけですから」
「そうですか……もう止めませんが死なないでくださいね」
「分かってますよ!」
私は頼光が縄張りとしている場所へと向かうリリルカさんの後を追った。
「敬語じゃなくても別にいいですよ」
「わかりました、じゃなくてわかったよ」
「あと少しで頼光の縄張りに着きますから、気を引き締めてください」
「わかったよ」
「前回の討伐作戦で頼光はこの洞窟から出てきました。一応深手を負わせることは成功しましたが、討伐するまではいかずに現在もこの洞窟の奥にいると思います」
「じゃあ入ろうか」
「うん」
「あと少しですよ」
二人は開けたところに出た。その先にいたのは、体長が3m程あり、筋肉の引き締まった2本のツノを持ち酒を持った鬼がいた。
「頼光!お前は私が倒す!!」
「あァん?お前は確か……ワシを討伐するとか言っていた部隊の大隊長とか言ってたか……あの傷は少々痛かったぞ」
リリルカが宣言した後に酒呑童子の頼光は喋った。話し方からは深手を負っているようには思えなかった。
「あなたはなぜ喋るのですか?」
「あぁぁん、そりゃあ古代種だからな」
私が一番最初に思ったのは、モンスターである頼光が何故話しているかだ。
「古代種とはなんでしょうか?」
「そんな事も知らんのか、今時の人間はァ」
「すいません、私が未熟な者で」
「まぁいい、お前の礼儀正しさに免じて教えてやろう。まず古代種とは魔物が100年以上生きた個体を言う。だいたいそのぐらい生きればほとんどの個体がUMになるから実力も兼ね備えている者が多い。まぁだが人間に力を貸す頭のおかしいやつもいるがな、例えばノワル帝国の古代青龍の【ブラウ】って呼ばれる魔物もUMの名前付きだな。まぁやつに逆らえる魔物なんてほとんどいないから文句を言えぬがな」
なるほど……つまりモンスターは長く生きれば生きるほど、強くなっていくってことかぁ。今の話し方からすると名前付きの方が強いのかな?
「名前付きって強いのですか?」
「あぁ、名前付きってのはな魔物に名前がついた時に全てにおいて格が上がる。種族においても、スキルにおいても、だからUMになった後に名前がついた魔物の強さはワシと同程度の実力になるだろうなァ。まあ戦えばワシが勝つじゃろうがな」
「どうして名前が魔物についているのですか?」
「ブラウは敵国の一人がその呼び名で呼んだら、名前がついてその隊長格の者は死んだそうだ」
自分の命を使ってそのブラウとかいうモンスターに名前を付けた判定になったのかな。
「そういえば、あなたはどうしてここにいるのですか?」
「ワシか?どうしてだろうな?生まれた時からここにおるから、今もおるだけだな」
「なら、私と一緒に旅をしませんか?」
UMが仲間になれば心強いよね。まあこのモンスターからは悪い感じはしないから、多分襲われたから反撃したんだろうなぁ。
「お前と旅か?面白いことを言う。このワシと旅か、ならばワシに力を見せてみろ。なぁーに殺しはせぬ、お前は面白いからな」
「リリルカさん、」
「は、は、はいなんでしょうか?」
「リリルカさん下がって」
「えっ、なんで?」
「私と頼光との戦いだから」
「えっ?えっ?わ、分かった」
リリルカさんは慌てているのか、敬語が消えてタメ語になっていた。
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