第2話 最初の街ファスター

「すごいなぁーめっちゃきれい、てか人多いなー、おぇ吐きそう」


 サキは人が多いと酔いそうになるのだった。

 え~と最初はギルドに行くんだったけ、あでも私ギルドの場所知らないじゃん。はぁ、人に聞くしかないのか。


「あのすいません」


 その人は聞こえないのか、自分のことじゃないと思っているのか、どちらか分からないが反応しなかった。


「すいません」


 肩をトントンと叩いてやっと反応を示した。振り返った男の顔を見てサキは少しビビっていた。その男は現実で言うところのヤのつく職業の人と変わらない程強面だったのだ。


「はい、なんかようかお嬢ちゃん」


「……っあ、えっと、ギルドの場所どこかわかりますか?」


「あー、えっとメニューを開いたか?」


「開いてないです。そもそもメニューって何ですか?」


「それすら知らないってことは初心者か、ならメニューって唱えればある程度わかるさ」


「わかりました、メニュー」


 彼女がそう唱えるとステータスを見た時と同じようにブォンという音を鳴らしながら、半透明な板が現れた。1度経験しているので、流石に分かりやすく驚きはしなかったが、少しビクッとはなってしまった。


――メニュー――


ログ

インベントリ

フレンド

マップ

GMコール

ログアウト


――メニュー――


「あ、出てきました」


「そっか、その中のマップてのを開けばギルドの場所がわかるぜ」


「ありがとうございました」


「まぁ、βテスターが初心者に教えるのは当然だからな」


「βテスターだったんですね」


「あれ、俺の装備を見て質問をしに来たんじゃないのか」


「はい、後ろ姿が優しそうだったので聞きました。βテスターって装備が貰えるんですか?」


「後ろ姿て……まあ顔はイカついからしかたねぇか。貰えるとはちょっと違って、βテストの時の装備を少し弱くしたのを使えるんだ。でも1種類づつしか持ってこれないけどな」


 強面のお兄さんはβ版をプレイしていたβプレイヤーだったみたい。でもβプレイヤーは装備貰えるなんて咲良から聞いてないよ。……かっこいい装備だなぁ……私も欲しい!


「カッコいい装備ですね!」


「まぁこれはUM《ユニークモンスター》がドロップしたUW《ユニークウエポン》だからな」


「UMとUWって何ですか?」


「UMってのはな、普通のモンスターが進化を繰り返した個体や突然変異で生まれた強個体など基本一体しか存在しないモンスターのことだ、UWはUMを倒した時にMVPに選ばれた者に送られるドロップだ、まぁ得られる部位はその人の運次第だけどな」


「いろいろと教えてくれてありがとうございました」


「気にすんな、一応フレンド登録しとくか?」


「フレンドって何ですか」


 フレンド登録ってなんだろう?フレンドが友達って意味なのは知ってるけど……。


「あー、何も知らない初心者だったな、フレンドってのはログインしているのがわかるのと、チャットができる機能だな」


「します!」


「よし、これでできたな」


「本当にありがとうございました!」


「おうよ!狩りをするなら東がいいぞ」


「では、さようなら」


「おう、さいなら」


 あの顔からは想像できないくらい優しいお兄さんだったなー。

 終始顔について失礼なことを考えていたサキだったが、強面の男は知る由もなかった。




―ギルド―


「本日はどういったご用ですか?」


「ギルドの登録と職業を登録したいのですが」


「わかりました。ギルド登録はこちらの水晶に触れてください」


 私が水晶に触れるとギルドカードと呼ばれるものが水晶の下に付いている機械から発行された。


「はいこちらがギルドカードです。ギルドのルールを説明しますか?」


「はい!お願いします」


「ギルドは依頼を冒険者に斡旋するところです。もちろん冒険者も依頼をだすことはできます。依頼には難易度があり下からE,D,C,B,A,S,SSの7種類あります。依頼を失敗した時に罰金があるのとないのがあります。これでルール説明を終えます。次に職業を決めるのであちらの部屋に入って水晶に触れるとなれる職業が出てきます」


「いろいろ教えてくださりありがとうございます」


称号 【礼儀正しい人】を獲得した


 あれ、称号を手に入れたみたいだけど、あとで確認すればいいか。


 職業

・見習いテイマー(下級職)詳細

・見習い魔術師(下級職)詳細

・聖女(上級職)詳細


 えっ、なんで上級職があるの?私初心者なんだけどなぁ。あっ、詳細で見れるのかな。


【聖女】

人々に好かれた神聖な魔法を使える者に送られる職業

 条件

・神聖魔法所持

・NPCの好感度上昇の称号所持


 そんな称号持ってないって……あっ、礼儀正しい人ってもしかして!


称号 【礼儀正しい人】

礼儀正しい人に送られる

効果 NPCの好感度が上昇する


 まあいいや、気にしないくていいよね。やるなら強い職業がいいから、聖女っと


【職業が聖女になりました】


称号【 規格外】を獲得した


 えーなにそれ?私の何処が規格外だっていうの!?


称号 【規格外】

初期職業が上級職以上の人に送られる

効果 スキルを獲得しやすくなる


 まぁ気にしない方がいいよね。

 サキはどこか遠くを見ながら現実逃避をしていた。ちなみに職業を決められる部屋は閉鎖的で窓もないので遠くなどないのだが、彼女は遠くを見ようとしていた。


「終わったんですね」


「はい」


「差し支えなければ教えて下さると嬉しいのですが」


「聖女になりました」


 ガタッという音を立てながらギルドに居た冒険者と思われるイカつい男たちが席を立ってこちらを見ていた。


「えっと、聞き間違いをしたかもしれないので、もう一度言ってくれませんか?」


「聖女になりました」


「え、え、なんでなれたのですか?」


 美人でクールな受付嬢がアワアワしているのを初めて見た冒険者たちは顔をニヤけさせていた。それはサキも例外ではなかった。


「……っ神聖魔法を持っているからです」


「えっ!?なんで最上位である神聖魔法を持っているんですか!」


「スキルを選ぶ時にランダムにしたからです」


「聞いたことがあります。異人はスキルを最初から3つ持っていると。でもランダムってのは聞いたことがありません」


「あー、ランダムを選ぶと変なスキルが出ることがあるからじゃないかな?」


「そうなんですね。……まぁいいです。ちなみにパーティーなど組む予定はありますか?ないのならこちらで斡旋することも出来ますが?」


「テイマースキルを持っているので1人やっていこうと思います」


「そうなんですね、分かりました。」


「はい!では行ってきます」


「はい、行ってらっしゃいませ」


称号 【ギルドのマドンナのお気に入り】を獲得した


称号 【ギルドのマドンナのお気に入り】

ギルドのマドンナに気に入られた人に送られる

効果 表に出てないことを教えてくれることがある

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る