(続き5)

エネルギーの移動、エネルギーの置換、


次は光だ

私は同じように左手にお湯を持ちながら

光が発生する様子を想像し、杖を振った


…が杖はあるのにつかめなかったような感覚と同時にただ下に振られただけであった


成程、これが説明にあった虚無を掴む感覚という奴だろう、個人的には霧などに投影されたプロジェクションマッピングを触ろうとする感覚に近いと感じた


つまりこれが意味することは


「光は出せない」


という事だ

なぜだ?光子を発生させることはできないのか?

励起させることはできないのか?


エネルギーの格差の条件はクリアしているはずだ

つまり、エネルギー以外の要因があるってことなのか?

光は確かに特殊な存在だ、波と粒の性質、二つの要素を兼ね備えている

ただのエネルギーの置換、変換ではうまくいかないのだろうか?わからない


他の場合も考えよう、魔法の放出の仕方に問題があるのかもしれない、私はほかにも数パターン出し方を工夫してみることにした、

だからと言って下手なことはできない、ここで太陽(核融合エネルギー)なんて想像したら、私のありとあらゆるエネルギーを吸い取られてミイラになってしまかねない…まぁ実験してみなきゃわからないが、


とにかく、

最初の私は懐中電灯から出るLEDの光を想像して杖を振った、それでは効果がなかったようなので今度は豆電球を想像してみた


左手にお湯を持ち、豆電球を想像する…

するとあの体の中をエネルギーが駆け回るかのような、感覚が私の体に走った!!成功だ!!

私はすぐさま杖を確認した

すると杖の先端が、というより赤熱していた、

線香の先端のように赤く、蛍のようにボヤァ~っと光っているだけだった


慌てて魔法を中断する、実験中に杖が燃えてもらっちゃ困る

実際に杖の先端は若干焦げていた。


これでわかるのは

エネルギーを置換して、直接光エネルギーとして放出するのは出来ないという事だ

熱エネルギーをそのまま状態変化に変換させるという手段を用いるのなら光を出すことはできるが…そもそも状態変化で発生する光自体がおまけみたいなものなので、真空状態が作れなければ持続しない、加えて光量も線香レベル、これではどうにもならない


理由は全くわからない、仮にわかるのだとしたら、現代のたくさんのインテリ物理学者と最新鋭の実験器具があるからだ、この世界でそこまで踏み込んだ理論が私に導けるのだろうか…


いや、今は可能不可能の話をするよりも目の前の事象に集中しろ

わかるところ、判明していることを洗いざらい確認するんだ

思考はそこからだ

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