{第一章 開始の合図}

 これが起きたのは2021年の7月27日だった

 私は九州から上京してきた一人暮らしをしている大学生、渡辺佑一郎。

数学とか科学とか論理に基づいたものが大好きな一般的な理系大学生の認識で構わない

 そんな私は今、次の講義に向けて勉強道具を整えているところだ

ペットボトルに入った水にスマホ…

筆箱の中には消しゴム、シャーペン、赤ペン青ペン

そして無地b5ノート

 その他諸々の準備を私は着々と進めていって内ポケットに入るものは内ポケットに入れノートを手に持った


 その時だった


 目の前が突然真っ白になった。

そう!目の前が突然真っ白になったのだ!

 瞳孔が開ききっているような、強い閃光を受けているような、そんなまぶしさだった、何が起こったのか理解できずに私は動揺した。

 机にもたれかかりながら心の中でこの光の正体の可能性を探し回った


 ニトログリセリンを舐めた?


 …いや!いくらニトログリセリンの血管拡張作用だってこんなに見えなくなるほど大量に舐められるはずないし、まず舐めてないし危険すぎる。


なら砒素か?


いや砒素だったら意識が飛ぶはずだ、今私はただ目が見えないだけで他には異常はない、

 ならサリンか?サリンなら気化しやすいし瞳孔を広げてまぶしくなる作用がある、ということはこれの可能性が高い。

 つまり私はもう少しで死ぬというわけだろうか、

 机の縁にある私の頭脳はそう語った。

 真実を知ったこの時の何とも言えない気持ちを読者の皆様はわかってくれるだろうか、孤独感、無力感、劣等感これらが入り乱れたこの気持ちを私は嚙み締めた。今まで学んできた知識を生かせずに…。

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