冒険者ギルドドネステラ西支部2
「いらっしゃいませ。冒険者ギルドドネステラ西支部へようこそ」
綺麗な受付嬢が対応してくれる。
「お客様はこちらの支部は初めてで、よろしいでしょうか?」
「は、はい」
把握されているのかとちょっとびっくりした綾人だった。
「他の街のギルド等で登録していた事はございますか?」
「ありません。ギルド登録は初めてです」
「かしこまりました。それでは冒険者登録をいたしますので、こちらの識別カードに触れて魔力を流してください」
綾人はドッグタグのような物を渡されたので、魔力を込める。
「はい。ありがとうございます」
識別カードを受付嬢に渡すと受付嬢が手元の端末? で何かいじり、再度識別カードを綾人に渡す。
「お待たせしました。魔力を通すと、お名前、年齢、レベル、スキルレベル上位3つ、魔法属性レベル上位3つが表示されます」
綾人は識別カードに魔力を通してみる。
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名前:アヤト
年齢:24
レベル:1
スキル:言語理解、居合術、体術
魔法:光属性、無属性、水魔法
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最低限、隠蔽スキルは無事に効いているようで安心する。
名字と、言語理解以外のスキルと魔法属性のレベルが(5)の物は隠蔽スキルで隠していて、名字とスキルは識別カードに反映されないで済んでいるが、魔法属性は表示されてしまっている。
魔法属性は有無とレベルの高さだけを個人のステータスから取ってきているのかもしれない。
現に、綾人は個人ステータス上、水属性魔法はレベル(1)ですらないが識別カードには表記がある。
識別カードとは違い、個人のステータスに表示される属性魔法のレベルは、最低限使える位だと反映はされないのだ。
因みに個人のステータスに表示されるレベルを前にアレクに聞いたところ、レベル(1)が得意、レベル(2)が優れている、レベル(3)がプロ、レベル(4)が達人、レベル(5)が天才という感じらしい。
そして、レベル(5)は滅多にいないらしいとも聞いて、表示させるのは言語理解だけにしている。
「よろしいでしょうか?」
……思考にはまりすぎていたようだ。
「すみません。どうぞ」
「はい。こちらの識別カードを専用端末で操作する事によりクエストの達成率等も記録されていきますので、クエスト受注、完了時には必ず受付を通してください。また、こちらは身分証としても使えます。何かあった場合の身分証も兼ねますので、クエスト中等はなるべく首から下げているようにお願いします」
「分かりました」
……死んだ時等の遺体の証明も兼ねるのだろう。
「それから、奴隷は何人ですか?」
「? 1人です」
何故奴隷? と思っていると受付嬢に金の腕輪を2つ取ってきて差し出された。
「こちらは、経験値分配魔道具です。割合をこちらで決める事が出来ます。1割は必ず倒した人に入るのですが、最大9割まで得られる事が出来ます。現在9対1にしておりますが、奴隷が1割のこのままでよろしいですか?」
1歩下がった所にいるアレクに顔を向けると頷かれる。
「はい。大丈夫です」
と、答えた瞬間背筋が寒くなった。
思わず後ろを振り返る。
……特に誰かが見ているなんて事は無い。気のせいかな? と思い、引き続き受付嬢から注意点等を聞き登録を終え、おすすめの宿についてもついでに聞き冒険者ギルドを後にした。
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