転生少女は今日も人生を楽しむ
@Sakurayanagi
第1話 転生少女
ガタン。ゴトン。
今日も学校に行くために、混んでいる電車に押し込まれながら乗る。
少女は電車が嫌いだったが、携帯を買ってもらってからちょっとした楽しみができた。
電車の中で「満天の星空」というネット漫画を読むこと。
ある日、今日もいつも通り電車に乗っていると、少女は雪が降っていることに気づいた。少し漫画を読む手を止め、窓の外を眺めていると、急に少女の顔が曇った。周りの人達もざわつき始めた。左にある坂から雪が降ってきていた。大量の雪が。どんだけ電車が進んでいても、雪崩から逃れられなくなってしまった。雪はだんだん積もり、電車は雪の体重に耐えきれなくなり、レールから転げ落ち、爆発した。この日が、少女の命日になった。享年12歳。
それなのに…
私はゆっくり目を開けると、プラネタリウムのような満天の星空が見えた。漫画で描かれていた星空と同じ。
「ここ、どこ?」
日本じゃなさそう。
私はとりあえず起き上がり、記憶をたどって自分の家へと帰った。中に入ると、あちらこちらに服が散らばっていた。この光景を見て、私は確信した。これは絶対転生だな、と。
私は大の潔癖症。こんな家に耐えられるはずがない。私の手は思ったより自然に動き、あっという間に片付けを終わらせた。私はもう少し自分のことを知るために、寝室へと向かった。私の寝室には大きいベッド、クローゼットにテーブル、平民よりは良い暮らしをしているみたい。私はベッドに寝転がった。
ふわふわ。マシュマロのような枕、高級な布団、こんな良い暮らしは初めて。
よし。満足したからもうちょっとだけ自分の記憶をたどって見よう。
名前は、レナ。苗字はないから平民。9歳から一人暮らしをしていて、前世の私と同い年。
この子、すごい。まあ私なんだけど。それより、いくら探しても親の記憶がない。前世の私と同じく。私には、前世も、今世も親の記憶がない。私呪いにでもかかってるのかな。
無理に探すのはやめよう。
ベッドでゴロゴロしていると、家のドアについてるチャイムもどきが鳴った。
誰だろう、こんな時間に。私はベッドから起き上がり、階段を降りて玄関ドアを開けた。
「どうしましたって、ええええっ!?」
扉の前にはぶるぶる震えてる金髪に青色の目の女の子が立っていた。なんか「満天の星空」のヒロインに似てるような。
「あ、あの。」
この子、可愛い。
「どうぞ!」
私は彼女が入れるように扉をもう少しだけ開けた。
まだ小さいなあ。8歳ぐらい?
確か子供ってココア好きだよね。
「ソファーに座ってて!」
「良いんですか?」
「いいよ!」
私は女の子をソファーの上に座らせた。
ちょこんと座ってる姿はまさに天使。
「お腹すいたでしょ。何食べたい?」
「な、なんでも食べれます。」
警戒してるな。まあしょうがないよね。
「大丈夫!毒とか入れないから!何食べたい?」
「お、オムライス。」
「わかった!」
私は冷蔵庫から牛乳と残ってるチョコを取り出して、小鍋で温めた。
これぐらいで良いかな。
二つのコップにちゃんと分けて入れ、ココアを女の子が座ってるソファーのテーブルの上においた。
「どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。これは、なんですか?」
「ココアだよ!チョコレートと牛乳を温めた飲み物!」
「チョコレート…」
この嬉しそうな顔は、チョコレート好きだな?
この子、可愛すぎる!飲む時ふー、ふーって冷まして飲んでるところとか!
癒される〜前世兄弟、いなかったから。
女の子はココアにゾッコンだね。
「オムライス作ってくるね。」
「はい」
まだ少しテンション低いなぁ。
オムライスを見たら笑ってくれるかも。
確かここに卵が…
あった!
鶏もも肉は流石に…ってあった!?
あとはたまねぎ、バター、塩、胡椒、ケチャップ。
私はフライパンのようなものにバターを塗って、鶏もも肉、玉ねぎを炒めた。
玉ねぎ切ったあとだから涙が、やばい。
玉ねぎが透き通ったら胡椒と塩を振って、ご飯二杯を加える。木べらもどきでトマトケチャップとチキンライスをまじ合わせ、二皿に分ける。
次は、卵。久しぶりにドレスオムライスを作ろうかな。よく前世で作ってたからなあ。
卵4個と牛乳、塩ををボウルの中で混ぜて、半分フライパンもどきの中に投入。菜箸を入れ込み中央に寄せる。これを繰り返して、できた!
もう一周回して…
ご飯の上に乗せれば、完成!この作業をもう一回やれば…
ドレスオムライス2人前完成!
私は早速お水とスプーンも一緒に持って行った。
「召し上がれ。」
オムライスに気づいた女の子はキラキラした目で私を見つめた。
食べていい?って目で聞いてるんだろうね。
私は頷いた。
「いただきます!」
にっこり笑った女の子は大きな一口を食べた。
可愛い。
幸せそうに食べる女の子を見てると私も食べたくなってきた!
私は女の子の隣に座り、食べ始めた。
おおー自分にしては上出来。
私たちはそのまま黙々と食べた。
「ふうー」
お腹いっぱい。女の子も満足したみたいだし。
「そういえば、あなたの名前は?」
今更気づいた。
「スピカ」
女の子は無表情で答えた。
「えっ!?す、スピカ!?」
やっぱり、この子は「満天の星空」のヒロイン!?
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