第16話 雨と霙は同じじゃない
目を覚ました。
俺はすぐに周りを見渡した。
様子からして、大して時間は立っていなそうだ。
たぶん数分寝落ちしてしまっただけだろう。
危なかった。このまま寝過ごしていたら、おそらく死んでいただろう。
彼女に会うことも、二度と叶わなかった。
俺は少し安心した。
とりあえず、そこらで、服の代わりになる何かを調達しなければ。あればの話だが。
どちらにせよ、この気温の中、濡れた服をずっと着ていたら死んでしまう。
ならば賭けに出るしかない。
立ち上がろうと上を見上げるとそこには愚鈍そうな男が佇んでいた。
少し古びた制服を着て、所々穴の開いた傘を差した、小汚い男だ。
今の俺が言えたことではないが。
日向の時と同様にバッグを持っていたが、何か食料を恵んでくれるわけではないようだ。
だが、襲撃してくる様子もない。
ただそこに立っている。
「何か用か。」
俺は警戒しながら、奴が答えるのを待った。
場合によってはこいつの持つ物資を丸ごと頂くつもりだった。
手段は選んでいられない。
今の俺でもこの男とならまだ戦えるだろう。
「そこ。どいてくれない?」
「は?」
「そこ、僕の家だから。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます